転職・退職

退職代行サービスはトラブルの元?確実に辞める方法とは?

近年、勤務先を退職する際に「退職代行サービス」を利用する人がじわじわと増えていることをご存知でしょうか?

日本労働調査組合の調査によれば、退職代行サービスの認知率は63.9%、利用経験者は約3割にものぼります。

一方で、「退職代行サービスを使うとトラブルになる場合がある」といった噂を聞いたことがある人も多いはず。

退職代行サービスを利用したことでトラブルに発展するのはどのようなケースなのか、トラブルを防ぐにはどうすればよいのか?

この記事では、退職代行サービスにまつわるトラブルと、より確実に辞める方法について解説します。

退職代行サービスとは?利用する主なメリット

はじめに、退職代行サービスとはどのようなサービスなのか、利用するとどんなメリットが得られるのかを整理しておきます。

退職代行サービスに申し込む前に、サービスの概要を把握しておきましょう。

契約後は基本的に「出社不要」で退職できる

退職代行サービスとは、退職手続きを代行してくれる事業者のことです。

一般的に、退職時には下記の手順を踏んで退職手続きを進める必要があります。

  • 退職の申し出
  • 退職願の提出
  • 退職日の決定
  • 退職届の提出
  • 業務引き継ぎ

これらの手続きは、本来なら出社して退職者自身が対応しなくてはなりません。

しかし、さまざまな事情から「できるだけ早く辞めたい」「もう出社したくない」といったケースもあるでしょう。

退職代行サービスを利用すると、契約が成立した翌日から基本的に出社は不要となります。

退職者本人が会社に行かなくても、退職代行サービスが各種手続きを代行してくれるからです。

このように、退職者自身が「出社不要」で退職できることが退職代行サービスを利用するメリットといえます。

残りの有給休暇を消化できる

退職に際してよく問題になるのが「残っている有給休暇を消化できるかどうか」という点です。

本来、有給休暇は労働者の権利として付与されているため、退職前に残りの有給を消化することに何ら問題はありません。

しかし、担当業務の引き継ぎや退職日までの残り日数によっては、現実的に有給消化が困難な場合があります。

退職代行サービスは、残りの有給休暇を確実に消化できるように勤務先へ働きかけてくれます

したがって、有給休暇が残っていれば日数分は在籍期間としてカウントされるのです。

有給を消化したくても「言い出しづらい」「交渉が面倒」といった理由で、消化しないまま退職してしまう人は少なくありません。

残りの有給をより確実に消化できる確率が高まることは、退職代行サービスを利用するメリットといえるでしょう。

引き継ぎをしなくても退職できる

退職するにあたって、担当業務を引き継ぐ必要があるケースがほとんどです。

企業によっては、引き継ぎを行わない従業員の退職金を減額や不支給とするといった罰則を設けている例も見られます。

退職代行サービスでは、業務引き継ぎも含めて対応してもらえる場合があります。

引き継ぎ期間中、退職代行サービスの社員があなたの勤務先に出向き、あなたの代わりに対応してくれるのです。

ただし、現実的には業務内容を把握していない人物が勤務先に出向いても対応できることはほとんどないでしょう。

したがって、実質的に「引き継ぎをしなくても退職できる」ことになります。

退職を申し出た状態で何週間も出勤し、引き継ぎにも応じるのは気まずいと感じる人は多いはずです。

引き継ぎをしなくても退職できることは、退職代行サービスを利用するメリットの1つといえます。

退職代行サービスを利用した場合に想定されるトラブル

退職代行サービスを利用すると、基本的には出社不要で勤務先を辞められるのは前述の通りです。

では、退職代行サービスを利用するとどういった場合にトラブルが起きやすいのでしょうか。

典型的なパターンを3つ紹介します。

勤務先から協議を持ちかけられる

そもそも、退職代行サービスは民間企業ですので、対応できるのは退職「手続き」の代行のみです。

弁護士など法律の専門家のように、勤務先と交渉して「退職できるかどうか」を決めることはできません。

よって、もし勤務先が退職について協議したいと申し出てきた場合、退職代行サービス側は基本的に何もできないのです。

万が一、退職できるよう「交渉」に持ち込もうとしていると見なされると、非弁行為として法律に抵触する恐れがあります。

退職代行サービスは「退職に関わるあらゆる手続きや交渉・協議に対応してもらえる」わけではない点に注意してください。

勤務先がこの事実を把握しており、あえて協議に持ち込んできた場合は勝ち目がないこともあり得るのです。

結果的に退職できず仕舞いになってしまう

前述の「協議」のように、退職代行サービスとして対応可能な範囲を超えてしまった場合、結果的に退職できないこともあり得ます。

この場合、退職を申し出た本人は自分で退職意思を伝えるよりもさらに気まずい状況に追い込まれてしまうでしょう。

会社を辞めようとしたことだけでなく、退職代行サービスを利用したことも同僚や上司に知られてしまうからです。

結果的に居づらくなってしまい、より不本意な形で辞めざるを得ないという状況になることも想定できます。

このように、どの退職代行サービスを利用しても100%必ず退職できるとは限らない点に注意が必要です。

退職代行サービスを利用したという噂が広まる

もし退職代行サービスを利用して無事に退職できたとしても、転職先にその事実が知られてしまう恐れがあります。

とくに前職と関わりのある業種に転職した場合、取引先や顧客から噂を聞きつける確率は決して低くないでしょう。

新たな職場の同僚や上司に「以前退職代行サービスを使って辞めたらしい」と知られてしまうのは、明らかに印象が良くありません。

下手をすれば「また辞めたくなったら退職代行サービスを使うのでは?」と思われてしまう可能性があります。

退職代行サービスを利用するなら、今の勤務先とは関わりの薄い業界へ転職することが前提です。

転職先でも今の職場と何らかのつながりが生まれる可能性があるなら、退職代行サービスの利用はあまり得策とはいえないでしょう。

トラブルになるリスクを回避するためのチェックポイント

退職代行サービスを利用したことでトラブルに発展する可能性もゼロではありません。

できるだけトラブルになるリスクが低いサービスを選ぶことが非常に重要。

退職代行サービスを選ぶ際には、次のチェックポイントを参考にサービス内容を確認しておきましょう。

弁護士が「監修」しているだけのサービスではないか

退職代行サービスでよく見かけるのが、「弁護士」という言葉。

弁護士がついているなら安心、と考えがちですが、必ずしも弁護士が実務を担当するとは限らない点に注意が必要です。

中には、単に弁護士が「監修」しているだけのサービスもあります。

この場合、勤務先が協議を申し入れたり、退職を拒んできたりした場合、交渉や協議に応じることができません。

こうした対応を弁護士以外が行うのは「非弁行為」に該当し、法律違反となるからです。

もし退職代行サービスのWebサイトで「弁護士」という言葉を見かけても、即座に信用しないようにしてください。

弁護士がどのように関わっているのか、万が一の場合には弁護士が職場と交渉してくれるのか、十分に確認しておくことが大切です。

提携している労働組合は活動実態のある団体か

勤務先との協議に応じられるのは弁護士だけではありません。

労働組合と提携している退職代行サービスであれば、労働組合を通じて勤務先と協議できる可能性があります。

ただし、労働組合という記載がWebサイトなどに見られたからといって信用するのはリスクが高いでしょう。

中には活動実態のない形だけの労働組合や、民間企業が運営する労働組合も存在するからです。

退職に関わる協議に応じられるのは、労働組合として活動実態があり、特定の企業などと利害関係のない団体だけです。

労働組合と名前が付いているだけで、実際には労働組合として機能していないケースもあるため十分に注意しましょう。

組合の公式サイトや過去の活動実績を調べ、実際に機能している労働組合かどうかを確認しておくのがポイントです。

他サービスと比べて料金設定が低すぎないか

他の退職代行サービスと比べて異様に料金設定が低いようなら注意する必要があります。

退職代行サービスを通じて退職を申し出ることで、さまざまなトラブルが発生することもあり得るでしょう。

その際の対応策を講じておくには、一定以上の人件費がかかるのはやむを得ません。

人件費をきちんと確保し、安定したサービス品質を維持するのであれば、相応の料金設定になるはず。

あまりにも安いということは、どこかで省略・簡素化しているプロセスがあると考えられます。

一般的に、退職代行サービスの料金相場は2万円前後です。

5千円以下などあまりも安い場合は、サービス品質が劣悪な可能性を疑うべきでしょう。

前述の通り、退職代行サービスを利用したからといって必ず退職できるとは限りません。

きちんと交渉や協議に応じる体制が整ったサービスを利用するなら、それなりの料金がかかることは覚悟しておく必要があります。

より確実に辞めたい人におすすめの退職代行サービス

ここまでに解説してきた退職代行サービスの選び方や注意点を踏まえて、おすすめの退職代行サービスを2つ紹介します。

より確実に辞めたい人、トラブルに発展するのを避けたい人は、これらのサービスを利用するとよいでしょう。

労働組合が運営する「退職代行ガーディアン」

退職代行ガーディアン」は、労働組合法人が運営する退職代行サービスです。

法律に則って勤務先と交渉してくれるため、過去に同サービスを利用して退職できなかった事例は1件もありません

運営事業者は労働組合法人として登記されており、もちろんきちんと活動実態のある法適合の組合です。

「交渉が可能」と明記している点、過去に辞められなかった事例がないという点から、おすすめしたいサービスの1つといえます。

退職代行ガーディアン公式サイト

 

弁護士法人が運営する「退職110番」

退職110番」は、弁護士法人が運営する退職代行サービス。

退職に関わる交渉を弁護士に代行してもらえるため、細かな部分まで対応できる点が大きな特徴です。

たとえば、残業代や未払金の請求はもちろんのこと、社宅退去の仲介や労災保険の申請なども対応できます。

もし勤務先から損外賠償請求されたとしても、弁護士法人なので訴訟対応も可能

万が一、退職できなかった場合は全額返金保証がありますので、責任をもって退職手続きを代行してもらえます。

法的なリスクに関する不安を抱えたくない人、細部に至るまで調整や交渉を代行して欲しい人におすすめです。

退職110番公式サイト

 

まとめ

退職代行サービスはトラブルの元といわれることがあるのは、適切な交渉・協議に応じられない業者も存在することが主な理由です。

弁護士や労働組合がきちんと交渉・協議に応じてくれるサービスを利用すれば、こうしたリスクを回避しやすくなります。

退職代行サービスの利用を検討している方は、今回解説してきたポイントを参考に契約するサービスを選んでみてください。

トラブルを未然に防いで円滑に退職手続きを進め、次のキャリアに向けた第一歩を踏み出しましょう。

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