- 高く評価されている社員ほど転職していく
- 優秀なエース社員が辞めてしまった
- 勤務先で期待されていた人が急に退職すると言い出した
皆さんの職場で、上記のようなことが起きていませんか?
今回は、なぜ優秀な社員ほど辞めてしまう・転職していくのかを解説します。
先に結論を言うと、優秀な社員が辞めるのは勤務先に将来性がない・働き甲斐がないと判断され、見限られてしまったからです。
こうした動きが見られる職場に勤務している場合の対処法も含めて、どう捉えればよいのかを見ていきましょう。
Contents
優秀な社員ほど辞めてしまう・転職する傾向があるのは「事実」
そもそも、優秀な社員ほど辞めてしまう・転職していくというのは本当なのでしょうか?
勤務先で高く評価されていれば昇給や昇進のチャンスも多いはずですから、辞めるのはもったいないと感じる人もいるでしょう。
しかし、実際に優秀な人材ほど勤務先を見限ってしまう傾向があるというのは紛れもない「事実」なのです。
エース社員ほど転職してしまう
優秀な社員の中でも、とくに転職・退職のリスクが高いのは「エース社員」です。
職場で高く評価されている人材の中でも飛び抜けて優れた成果を挙げている社員をイメージしてください。
エース社員であれば、近い将来スピード出世して役職の階段を駆け上がっていくものと誰もが思うでしょう。
しかし、こうした社員ほど唐突に「転職先が決まりました」「今月末で退職させていただきたい」と申し出るのです。
周囲の同僚は「あれほど高く評価されていた人がなぜ?」と首をかしげるしかありません。
こうした現象は特定の職場に限った話ではなく、どの企業でも頻繁に起きていることなのです。
優秀な社員ほどカウンターオファーにも応じない
優秀な社員が退職を申し出れば、かなり高い確率で上司は引き止めるでしょう。
辞めずに続けてもらうことで、今後も自社に貢献し続けてもらうことができるからです。
また、優秀な人材が流出することは自社にとってリスクにもなり得ます。
もし競合他社に優秀な人材が移ってしまったら、企業としての競争力でも負けてしまうかもしれません。
そこで、優秀な社員が辞めたいと言い出すと、給与条件を中心とした条件の見直しを提案する「カウンターオファー」が行われます。
しかし、優秀な社員ほどカウンターオファーにも応じず、そのまま辞めていく傾向があるのです。
要するに、優秀な社員が退職を申し出てきた時点で引き止める方法はないと考えたほうがよいでしょう。
能力・成果とも微妙な社員ほど残る
優秀な社員が唐突に辞めてしまうのに対して、能力・成果とも微妙なレベルの社員ほど長く1社に留まる傾向があります。
日本の雇用制度は従業員にとって有利な仕組みになっているため、能力不足を理由に解雇するのは困難です。
自己都合退職に追い込むようなことをすれば、従業員から損害賠償請求をされるなど、別のリスクが生じかねません。
よって、能力・成果ともに微妙な社員であっても会社側が「辞めさせる」という選択肢はかなり限られています。
そのため、優秀な社員が退職するという出来事がいっそう目立ちやすくなり、社内に衝撃が走る事態になりやすいのです。
優秀な社員ほど辞めてしまう・転職する3つの理由
優秀は社員ほど辞めてしまう・転職していくのはなぜでしょうか。
もちろん人によって退職・転職の理由はさまざまですが、多く見られる傾向として次の3点が挙げられます。
現在の勤務先に限らず他社でも評価される自信があるから
優秀な人材は、現在の勤務先に限らず他社に移っても高く評価されるという自信を持っています。
自身への評価が特定の勤務先でしか得られないとは捉えていないため、より条件の良い職場があれば躊躇なく転職するのです。
現状、勤務先で高く評価されている人材を他社も欲しがるのは自然な成り行きといえます。
職場が変わっても高く評価され、自分の力でキャリアを築いていけると確信しているのなら、転職をためらう理由はありません。
このように、優秀な社員ほど他社でも評価される自信があることが、あっさりと退職・転職するという行動をもたらしているのです。
転職を機に年収アップを実現する勝算があるから
転職によって年収が上がるという勝算があることも、優秀な人材にとって転職に対する心理的ハードルを下げる要因になっています。
一般的に、転職後に前職よりも年収が上がるという保証はありません。
転職したことでかえって条件が悪くなることも決してめずらしくないのが実情です。
しかし、転職市場における人材価値が高い場合、転職を通じて年収アップを実現できる確率が高いといえます。
優秀な人材を引き抜くには、好条件を提示しなければ振り向いてもらえないと多くの企業が考えるからです。
つまり、優秀な人材にとって転職市場は常に「売り手市場」であり、企業よりも転職者側のほうが立場が上になっています。
優秀な人材は「企業を選ぶ側」であり、より良い条件の職場を自らの意思で選定できる立場にあるのです。
よって、転職を機に年収アップを実現できるという勝算も高い確度で持っていると考えられます。
勤務先の将来性や今後の事業展開を先読みしているから
優秀な人材は、現在の勤務先についても常に客観的な視点から見ています。
勤務先の将来性や今後の事業展開が明るいものかどうか、俯瞰的に判断し先を読んでいるのです。
たとえば、現時点では業績が悪化する兆候が見られず、社員の待遇も決して悪くない職場があるとしましょう。
大半の社員は「今辞めるのはもったいない」「まだ様子を見ていても遅くはないだろう」と判断するはずです。
しかし、優秀な人材ほど先見性も優れているため、市場の動向や社会情勢などを総合的に判断した上で「動くべきか」を考えます。
視点が「現在」ではなく「未来」にあるという点が大きなポイントです。
こうした視点は、常に現状を起点に物事を捉える「安定志向」や「現状維持志向」の人は決して持ち得ないものでしょう。
そのため、優秀な人材が将来を見越して転職を決断しても「もったいない」「どうして急に」と捉えてしまうのです。
もし勤務先で優秀な同僚が退職したら
現在の勤務先で優秀な同僚が退職した場合、その事実をどのように受け止めるべきなのでしょうか。
優秀な同僚が退職すると知った際の考え方と取るべき行動について整理しておきましょう。
優秀な人が見切りをつける職場であることを受け入れる
まず明確にしておくべきことは「優秀な人材が見切りをつけるような職場である」という事実です。
社内で十分に活躍し、成果も挙げているにも関わらず退職という選択をした背景には、相応の理由があると考えられます。
ここで判断を誤る人は、すぐに転職先が見つかることを羨ましたがったり、嫉んだりしがちです。
しかし、それよりも重要なことは「優秀な人材にとって魅力がない職場である」という事実を受け入れることでしょう。
職場としての魅力や自社の将来性を把握する上で、優秀な人材の行動や決断は重要な材料となり得るのです。
転職先の業種や職種をそれとなく聞いてみる
もし退職する社員が身近な人であれば、転職先の業種や職種をそれとなく聞いてみましょう。
同業種への転職だとすれば、仕事内容そのものではなく「勤務先」に不満や物足りなさを感じている確率が高いからです。
反対に、異業種や異職種への転職であれば、勤務先の業界や職種に将来性を感じなくなっている可能性があります。
なぜそう考えるのか、可能であれば理由や背景についても聞いてみるとよいでしょう。
優秀な人ほど、常に先を見て行動しているものです。
転職先の業種や職種の傾向を知ることで、自身のキャリアを考える際にヒントになるかもしれません。
自社の将来性や今後の事業展開を分析しておく
優秀な人材が退職するタイミングは、自社の将来性や今後の事業展開を改めて分析しておくチャンスと捉えましょう。
能力が高い人材が見切りをつけるのであれば、何らかの不安材料や事業リスクを抱えている可能性があります。
現状では業績や経営状態に大きな問題がないように見えても、近い将来何らかの問題が起きることも考えられるのです。
同業他社はもちろんのこと、業界全体に視野を広げて将来性を予測してみてください。
優秀な人材が見切りをつけた理由が見つかるかもしれません。
自分自身がある程度評価されている・優秀と思われている場合の注意点
現在の勤務先で自分自身がある程度評価されている・優秀と思われている傾向があるようなら、転職時には注意が必要です。
自社にとって重要度が高い人材ほど、退職時に引き止められるなどスムーズに退職させてもらえない確率が高まります。
次に挙げるポイントを押さえて、退職・転職を可能な限りスムーズに進めましょう。
転職先によっては競合避止義務の規程に注意する
転職先が同業種の場合、現在の勤務先の就業規程に「競合避止義務」が定められていないか必ず確認してください。
競合避止義務とは、退職者が競合他社で就業することを一定期間禁止し、自社のノウハウが流出するのを防ぐための規程です。
退職後2年間など、具体的な期間とともに競合避止義務を課している企業は少なくありません。
直接的な競合関係がある企業へ転職することが発覚すると、トラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
ただし、現実的には同業他社へ転職するケースは非常に多く見られます。
競合避止義務が定められているからといって、同業種の企業に転職できないとは限りません。
競合避止義務が明確に定められいる場合は、転職先の企業名を明言しないなどの対策を講じる必要があります。
退職時に引き止められた場合の対策を考えておく
勤務先で高く評価されている社員ほど、退職を申し出た際に引き止められる確率が高くなります。
退職時に引き止められた場合、どのように回避するのかも事前に考えておきましょう。
引き止めるための口実はさまざまですが、よくあるケースとして「カウンターオファー」が知られています。
カウンターオファーとは、昇給など条件面の改善を約束することと引き換えに、退職を思い留まるよう説得することです。
しかし、カウンターオファーに応じても条件面が大きく改善されるという保証はありません。
場合によっては、昇給は微々たるものに過ぎない上に「辞めようとした人」というレッテルを貼られることになります。
今後、重要な仕事を任されなくなったり、将来的に昇進が遅くなるといった可能性もゼロではありません。
基本的には「退職を申し出たからには必ず辞める」という覚悟で退職を申し出ることをおすすめします。
強引に引き止める傾向がある職場なら退職代行サービスの活用も検討する
退職を強引に引き止められる恐れがあるようなら、退職代行サービスの活用も視野に入れておきましょう。
退職時期を引き延ばされたり、退職の申し出に応じてもらえない期間が長引いたりすると、転職先への入社時期が遅れてしまいます。
より確実に辞めるには、第三者が介入して退職手続きを進めてもらうほうがよいケースも多いのです。
ただし、利用するサービスによっては企業側が異議を申し立てた場合に交渉に持ち込めないこともあります。
退職代行サービスはあくまでも民間事業者であり、交渉や協議に応じる行為は禁止されているからです。
弁護士や労働組合など、交渉・協議に応じられる専門家または団体と提携しているサービスを選びましょう。
労働組合が運営する「退職代行ガーディアン」や、弁護士法人が運営する「退職110番」などのサービスがおすすめです。
料金の安さだけで退職代行サービスを選んでしまうと、最悪のケースでは退職自体ができないことにもなりかねません。
トラブルの際には弁護士や労働組合が対応してくれるサービスかどうかをよく見極めた上で、利用するサービスを選択しましょう。
まとめ
優秀な社員ほど退職・転職してしまう傾向があるのは紛れもない事実と考えてよいでしょう。
能力が高い人ほど先を読んで行動しており、現在の勤務先が今後どうなっていくのか推測できているからです。
もし優秀な同僚が退職するという話を耳にしたら、自身の今後のキャリアを再検討するタイミングと捉えてください。
時期を逃さず転職することで、キャリアをより充実した実り多いものにできる可能性も十分にあるのです。