- 入社して何年か経つものの一向に給料が上がらない
- 今の勤務先が若手社員にとって不利な環境なのか知りたい
- 転職するなら若手でもきちんと評価してもらえる職場を見つけたい
こんなふうに考えたことはありませんか?
実は、若手社員の給料が上がりにくい職場には特徴的な共通点があります。
今の勤務先に見切りをつけるべきか迷っている人、転職を検討している人は、若手が不利な職場の特徴を掴んでおくことが重要。
若手社員の給料が上がりにくい要因や転職する際のポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
Contents
若手社員は「年収が低いのが当たり前」なのか?
そもそも「若手のうちは給料や年収が低いもの」という考え方は事実にもとづいているのでしょうか?
データを元に、年齢と年収の関係を確認していきます。
20〜24歳の平均年収は277万円
結論から言うと、年収が低い層は24歳以下に集中しているのが実情です。
国税庁は、業種・年齢・勤続年数別の年間平均給与(つまり年収)を公表しています。
参考:国税庁「民間給与統計調査結果」
これによれば、30歳から34歳の平均年収は439万円。
全年齢の平均年収が433万円なので、30代に入るとほぼ平均に近い年収を得ている人が多くなることが分かります。
一方、20〜24歳の平均年収は277万円と300万円を下回っているのです。
若手と一口に言っても、実は年収が低い人が多いのは24歳以下の層と判断できます。
もちろん人によって差はあるものの、全体の傾向として24歳以下の年収がとくに低い傾向があるのはたしかです。
平均年収が最も高いのは50〜54歳
反対に年収が最も高いのは50〜54歳で、平均年収は566万円。
50〜54歳男性の平均年収に限って見た場合、平均年収は734万円に達しています。
単純計算すると、24歳以下の人材2.5人分以上の年収を1人で得ている50代男性が少なからずいるのです。
このように、年齢別に見ると年収に偏りがあるのは事実であり、若手にとって不利な状況にあるのは間違いないといえます。
日本企業の賃金構造は終身雇用の名残
では、なぜ年齢によって年収の差がこれほど開いてしまうのか?
ここには長らく続いてきた日本の雇用制度の名残が色濃く表れています。
そもそも、日本企業の大半はかつて終身雇用を前提とした雇用体系を整えてきました。
就職ではなく「就社」と邪揄されたこともあるように、1社に新卒から定年まで勤めるのが当たり前の時代があったのです。
しかし、当時と今では社会人が置かれている状況は大きく異なります。
定年が60歳から65歳に延び、今後は70歳に引き上げられるという話も浮上しているほどです。
仮に22歳の人が70歳まで働くとなれば、現役時代は48年間にも及びます。
半世紀近くの期間を1社で勤め上げるのはあまり現実的ではなく、キャリアの途上で転職するのもめずらしいことではなくなりました。
一方、雇用体系そのものはかつての仕組みを引きずったままの企業が少なくありません。
若手社員は「長い年月をかけて」「苦労しながら」徐々に年収を上げていく仕組みが根強く残っているのです。
若手社員の給料が低い・上がりにくい仕組みにする理由
企業はなぜ若手社員の給与を低く抑えたり、上がりにくい仕組みにしたりするのでしょうか。
企業によってさまざまな思惑があり得ますが、とくに多い理由として次の3つが挙げられます。
早期離職のリスクに備えるため
若手社員に支給する給与を抑えることで、企業は早期離職のリスクに備えることができます。
「3年3割」という言葉があるように、新卒入社の社員は平均的に3年以内に3割が離職するといわれています。
数年で辞めてしまう人よりも、長年勤めてくれる人により多くの給与を払いたいと考えるのは、経営者としては自然なことでしょう。
若手社員の給与を低めに設定しておくことで、もし短期間で退職されてしまっても損失を最小限に抑えることができます。
前述の通り24歳以下の給与水準が顕著に低くなっていることも、早期離職リスクへの備えと考えれば説明がつくのです。
古参の社員の待遇を悪化させないようにするため
終身雇用が実質的に崩壊したとはいえ、日本企業の多くはかつての給与体系を引きずっているケースが少なくありません。
勤務年数の長い社員ほど給与が高くなっていくため、人件費は年々上がり続けることになります。
離職率が低い職場と聞くと良い印象を受けるかもしれませんが、裏を返せばベテラン勢が居座っている職場ともいえるのです。
こうしたベテラン勢の雇用を維持するには、どこかで人件費を削ってバランスを取らなくてはなりません。
人件費を削るとしたら、「これから入社してくる若手社員」が標的になるのは想像に難くないでしょう。
つまり、古参の社員の待遇を維持するために、若手社員が犠牲を強いられているのです。
若手社員は年功序列時代の低賃金で働いているにも関わらず、将来給与が上がる保証はないという過酷な状況に置かれているのです。
給与体系が20〜30年前から基本的に変わっていないため
近年は成果主義やジョブ型雇用を導入する企業も登場していますが、多くの企業はかつての給与体系を大きく変えていません。
20〜30年前から続いている、終身雇用を前提とした給与体系のまま今に至っているのです。
終身雇用にもとづく給与体系は、若手のうちは給与が低いものの年齢とともに昇給していく仕組みになっています。
つまり、昔は「若いうちは低い給与で我慢すれば、いずれは誰しも豊かな暮らしができる」と保証されていたのです。
しかし、現在ではキャリアの途上で転職する人も増えており、若いうちに転職した場合は「安く使われただけ」になってしまいます。
給与体系が社会の実態と合わなくなっているにも関わらず、依然として古い仕組みが存続していることが大きな問題です。
このように、若手社員の給与が低い・上がらないことは、若手社員側に原因がないケースも多々あるのが実情といえます。
若手社員の給料が上がりにくい職場によくある3つの特徴
若手社員の給料が上がりにくい職場によく見られる特徴をまとめました。
もし該当するものがあれば、若手のうちは給料が上がりにくい可能性が高いでしょう。
給与体系や普段の仕事の任され方など、振り返りながらチェックしてみてください。
給与に年齢給や勤続給が含まれている
現在の勤務先の給与体系は、どのように決められているでしょうか?
とくに基本給に関して、どのような仕組みで昇給していくのか給与規程などを見直してみましょう。
賃金テーブルなどが定められているようなら、そこに年齢給や勤続給が含まれているかどうかをチェックしてみてください。
年齢給とは、年齢が上がるにつれて給与が上がっていく仕組みのこと。
勤続給とは、勤続年数に応じて給与が上がっていく仕組みのことです。
もし年齢給や勤続給が昇給に大きく関わっているようなら、若手社員の給料が上がりにくいのは当然でしょう。
年齢的に若いことも、在籍年数が短いことも、給料を上げない理由になるからです。
また、年齢給・勤続給に関する規程があるようなら、どのタイミングで給与が上がりやすいのかも確認しておきましょう。
入社5年・10年・20年といった節目で確認したとき、50代半ばあたりが給与額のピークになっていないでしょうか?
もしそうなっているようなら、典型的な「終身雇用型」の給与モデルと考えられます。
一定以上の勤続期間を経ないと給与が上がらない仕組みになっているので、若手にとっては不利な環境と考えて間違いありません。
若手社員は能力やスキルに関わらず雑用を任されている
社内で若手社員がどのような仕事を任されているかを改めて観察してみましょう。
若手だからというだけの理由で、ゴミ出しや洗い物など、いわゆる雑用を任されていませんか?
中には優秀な若手社員もいるはずですが、能力に関わらず年齢を基準に雑用を振るのは若手社員を下に見ているからです。
重要な仕事は年齢を重ねないと任せてもらえない職場の可能性があります。
若手社員が能力を発揮して評価を高めるチャンスそのものが与えられていない可能性も否定できません。
年齢や在籍年数に関わらず、能力や成果によって公平な評価が得られる仕組みがあるかどうか、今一度チェックしてみてください。
明らかに仕事をしない・仕事ができない中高年の社員が目立つ
ベテラン勢の社員は、年齢相応の責任を伴う仕事をしているでしょうか?
もし仕事をしない・仕事ができない中高年の社員が目立つようなら、若手の給料が上がりにくい可能性が高いと考えられます。
仕事をしない・仕事ができない社員でも、年齢が高いというだけで若手よりも多くの給料を得ているようなら要注意です。
そういった中高年の社員が居座っているということは、人件費がかさんでいる確率が非常に高いでしょう。
中小企業であれば、若手社員を昇給させるほどの資金的な余裕がないことも考えられます。
仕事をしない・仕事ができない社員でも首を切られないのは安定した良い職場のように思えるかもしれません。
しかし、若手社員にとっては自分たちに回ってくる給料がなかなか増えない職場とも言えるのです。
若手社員の給料が上がりにくい職場から転職する際のポイント
今の勤務先が若手社員にとって給料が上がりにくい環境だと気づいたら、今後のキャリアをどうやって築けばよいのでしょうか。
転職する際のポイントを3点挙げますので、頑張っても給料が上がらない環境から脱出しましょう。
できるだけ若いうちに転職しておく
将来的に転職する意思があるようなら、できるだけ若いうちに転職したほうが有利です。
勤続年数が短い人は「3年程度は勤めたほうが良いのでは?」と思うかもしれません。
しかし、転職するなら勤続年数よりも年齢を重視することをおすすめします。
中途採用者を募集するにあたって、「第二新卒」の採用枠を用意する企業は少なくありません。
第二新卒とは、新卒入社から3年以内程度の若手を指します。
「新卒」という言葉が入っている通り、中途採用でありながら半ば新卒として採用されるのです。
入社3年を過ぎている場合も、20代のうちであれば未経験業種・職種に転職しやすい傾向があります。
年齢が高くなればなるほど経験やスキルが求められ、即戦力としての活躍が期待されるようになるでしょう。
もし給与アップを目指して転職するなら、できるだけ若いうちに転職しておくほうが得策です。
現状の業種・職種に囚われない
転職先を探す際には、現在の勤務先の業種・職種に囚われないことが重要です。
たとえば、今の勤務先で法人営業として働いている人は法人営業の求人を探す傾向があります。
しかし、若手であれば異業種や異職種への転職も視野に入れることで選択肢の幅が飛躍的に広がるはずです。
30代前半くらいまでであれば、ポテンシャル重視で採用する企業も数多くあります。
現状の業種・職種だけに絞って限られた中から転職先を選んでいると、転職できるチャンスを逃してしまいかねません。
異業種・異職種であっても、これまでの経験やスキルを活かせる場面は必ずあります。
どうしても今の業種・職種にこだわりたいのでなければ、異業種や異職種も視野に入れておくのがおすすめです。
退職を引き留められそうな場合は退職代行サービスを活用する
転職先が決まったら、職場に退職の意思を伝える必要があります。
昨今は人材不足の企業が増えているため、若手社員が退職を申し出ると引き留められることもめずらしくありません。
場合によっては待遇改善や昇給といった交換条件を提示され、交渉に持ち込まれることもあり得ます。
たとえ魅力的な条件を提示されても、退職を申し出た以上「辞めようとした人」という目で見られるのは避けられないでしょう。
退職を申し出る以上は確実に辞めるというつもりで臨むことをおすすめします。
退職を引き留められそうな場合や、引き留められた際に断る自信がない場合は、退職代行サービスを利用するのも1つの方法です。
退職代行サービスに申し込むと、契約が成立した翌日から出社不要となります。
退職の申し出から書類のやり取り、返却物の送付まで代行してもらえるので、しつこく引き留められるリスクがありません。
転職先での再スタートをすっきりとした状態で切るためにも、引き留められそうな場合は退職代行サービスを頼りましょう。
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まとめ
若手社員の給料が上がりにくい職場は実在します。
給与体系そのものが、若手社員よりもベテラン勢を優遇する仕組みになっている職場も多いからです。
この先何十年もかえて昇給を目指すよりも、転職でキャリアをショートカットしたほうが効率的に給与アップを実現できるでしょう。
今回紹介してきたポイントを参考に、今の勤務先が若手社員にとって不利な環境になっていないかぜひチェックしてみてください。