- 住宅手当と家賃補助はどう違うの?
- 住宅手当や家賃補助にはメリットだけでなくデメリットもあるって本当?
- 手当にも税金がかかると聞いたが本当なのか?
上記のような疑問を感じていませんか?
今回は、住宅手当・家賃補助について詳しく解説します。
この記事を読めば、住宅手当と家賃補助の違いが理解できるでしょう。
また、手当や補助に対する課税についても触れているので、ぜひ参考にしてください。
Contents
住宅手当と家賃補助の違い
まずは、住宅手当・家賃補助がそれぞれどのような制度なのか整理しておきましょう。
どちらも住宅に関する費用を勤務先が負担してくれるという点では共通しているものの、制度の趣旨が根本的に異なります。
具体的な違いについて理解しておくことが大切です。
住宅手当とは
住宅手当とは、賃貸住宅や住宅ローンといった住宅にかかる費用の一部を補助することを目的とする手当です。
住宅手当を支給するかどうかは企業ごとに決めることができ、たとえ全く支給しなくても法律上問題ありません。
大きな特徴として、賃貸・持ち家の区別なく住宅費を負担している社員が支給の対象となる点が挙げられます。
実家で親と暮らしているなど住宅費を自分で負担していないケースを除き、所定の条件を満たせば住宅手当が支給されるのです。
住宅ローンを返済中の人にとっては、実質的に返済の負担が軽減されることになります。
賃貸・持ち家の区別なく支払われるケースが多いという点が、住宅手当の大きな特徴といえるでしょう。
家賃補助とは
家賃補助は、賃貸住宅の家賃の一部を補助することを目的として支払われます。
住宅ローンの返済は家賃には含まれないため、賃貸契約の場合に限られるケースが少なくありません。
企業によっては家賃補助のことを住宅手当と呼ぶ場合がありますが、対象が賃貸物件に限られていれば実質的には家賃補助です。
社宅や社員寮を提供していない企業が、それらの代わりとして支給しているケースが見られます。
家賃補助に関しても必ず支給しなくてはならないものではなく、福利厚生の一環として企業が自由に設定できる制度です。
よって、家賃補助が一切支給されない場合も法律上とくに問題はありません。
住宅手当・家賃補助にも課税される?
皆さんの中には、住宅手当や家賃補助も課税の対象になるのか気になっている人もいるでしょう。
もし課税されるとすれば、実質的に手当が目減りしてしまうからです。
実は、住宅手当・家賃補助は制度の趣旨によって課税対象となるかどうかが異なります。
課税されるケースとされないケースに分けて見ていきましょう。
住宅手当は給与と見なされる
住宅手当は給与の一部として支払われていることになるため、所得税や住民税の対象となります。
また、社会保険料の対象にもなることから、住宅手当が支給されることで事実上の負担増につながるのです。
たとえば、住宅手当が月2万円支給されている場合、実質的に年収が24万円増加したことになります。
したがって、住宅手当の場合は基本的に「課税される」と考えておく必要があるでしょう。
家賃補助は物件契約の名義がポイント
一方、家賃補助の場合は物件の契約名義によって課税・非課税が分かれます。
社員が個人的に契約している賃貸物件であれば、賃貸契約に勤務先は関わっていないことになります。
よって、家賃補助は前述の住宅手当と同様、給与の一部と見なされ課税対象となるのです。
しかし、賃貸物件を会社名義で契約している場合、一定の条件を満たせば福利厚生費として扱うことができます。
福利厚生費とする条件とは、社員自身が家賃の半額以上を負担することや、敷金・礼金を会社負担することなどです。
福利厚生費は労働の対価として支払われる性質のものではないため、税金や社会保険料の対象にはなりません。
よって、家賃補助は条件しだいで非課税となる場合があるのです。
代表的なケースとしては、会社が所有する社宅や寮、会社名義で契約している借上げ社宅などが挙げられます。
住宅手当・家賃補助が支給されるメリット
住宅手当・家賃補助が支給される企業に勤務すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
主なメリットとして、次の2点が挙げられます。
実質的に年収が上がる
住宅手当や家賃補助が支給されれば、実質的に年収が上がったことになります。
たとえば、住宅手当が月2万円支給される場合は年間24万円年収が増えたも同然です。
家賃は毎月かかる固定費の中でも大きな割合を占めるため、コストが減ることで可処分所得の増加につながります。
自由に使えるお金が増えれば、生活に余裕が生まれて好きなことに使えたり、貯金に回す金額を増やしたりできるでしょう。
基本給や賞与が同水準の企業に勤めるよりも、体感としては暮らしが豊かになる可能性があります。
社員を大切にしている会社だと確認できる
住宅手当や家賃補助を支給されていることで、社員を大切にする企業に勤務していることを実感できるでしょう。
本来、住宅手当や家賃補助の支給は企業にとって義務ではありません。
一切支給しないという選択肢もある中、あえて支給しているのは従業員の生活を支援したいという思いがあるからです。
社員を大切にしない企業ではまずあり得ない発想のため、勤務先が優良企業の可能性は決して低くないと考えられます。
社員を大切にしている会社で働けることは、精神的な余裕を持って暮らす上でも重要な要素です。
企業として社員をどう扱っているのかが良い意味で分かることも、住宅手当・家賃補助が支給されるメリットといえます。
住宅手当・家賃補助が支給されるデメリット
住宅手当・家賃補助が支給されることは、一見するとメリットしかないようにも思えます。
しかし、人によってはデメリットとなりかねない面もあることを押さえておきましょう。
次に挙げる3点については注意が必要です。
住む場所を自由に選べない場合がある
家賃補助の対象になっているのが会社の所有物件や契約物件に限られている場合、住む場所を自由に選べないことがあります。
借上げ社宅の場合、賃貸契約を締結するのは会社側のため、入居者は物件所在地や間取りを指定できないケースがほとんどです。
毎日生活する部屋にこだわりがある人の場合、住宅手当や家賃補助が制約となって希望が叶わない可能性があります。
同僚が同じ物件に住んでいる可能性がある
社員寮や社宅の場合、同じ物件に同僚が住んでいる可能性があります。
休日などに職場以外でも顔を合わせることになるため、人によっては気が休まらないと感じるかもしれません。
また、外出するタイミングなど生活スタイルの一部が知られてしまう可能性もあります。
オンとオフを明確に分けたい人にとっては、同僚と同じ物件に入居するのは大きなデメリットとなる場合があるのです。
税金の負担が増える場合がある
住宅手当や家賃補助は福利厚生費と見なされない限り、給与と同様に課税の対象となります。
つまり、手当や補助が支給されることで税金の負担が増える場合があるのです。
実際に手元に残るお金が増えるのは間違いないため、決して損をしているわけではありません。
しかし、人によっては「手当にまで課税される」ことが納得いかないと感じる場合もあるでしょう。
前述の通り、課税されるかどうかの基準には明確なルールがあります。
同じ勤務先に勤めている人は全員が同じ条件ですので、「そういうもの」と理解するしかないでしょう。
まとめ
住宅手当と家賃補助は、どちらも住宅費の一部を勤務先が負担するという趣旨のものです。
ただし、持ち家・賃貸の区別なく支払われる住宅手当に対して、家賃補助は基本的に賃貸住宅が対象となります。
また、課税の有無は福利厚生費と見なされるかどうかによって決まりますので、気になる場合は勤務先に確認してみましょう。
近年は住宅手当や家賃補助を撤廃する企業も増えており、支給を続けている企業は希少になりつつあります。
もし勤務先や転職先にこうした制度があるようなら、優良企業の可能性ありと捉えてよいでしょう。
ぜひ今回の記事を参考に、住宅手当・家賃補助の趣旨や仕組みへの理解を深めてください。