労働条件

労働条件が聞いていた内容と違う?即日退職できる?

  • 面接時に聞いていた話と実際の仕事内容が違う
  • 正社員と聞いていたのに実際には契約社員だった
  • 基本給に残業代が含まれていると入社後に知った

上記のような状況に戸惑っていませんか?

労働条件が事前に聞いていた内容と異なっていた場合、即日退職できるのでしょうか?

もし即日退職した場合にどうなるのかも含めて、対処法を見ていきましょう。

【結論】労働条件の相違は即日退職可能

結論からお伝えすると、労働条件の相違は即日退職できる事由に該当します。

本来、会社を辞めるには2週間前までに退職の意思を伝える必要がありますが、この場合は別次元の話だからです。

実際に即日退職した場合にどうなるのか、具体的に解説していきます。

雇用契約書と明らかに内容が異なるのは違法

そもそも、入社時に受け取っていた雇用契約書や労働条件通知書と実際の労働条件が異なるのは違法です。

勤務先は違法行為をしていますので、雇用契約は無効となります。

したがって、「雇用契約の解除は申入れの2週間後」といった通常のルールは適用されません。

企業は従業員を雇う際、事前に雇用契約書や労働条件通知書を提示する義務を負っています。

雇用契約書や労働条件通知書は雇用契約内容の証明となるものですので、事実を正確に記載しなければなりません。

もし事実と異なる点が見られるようなら、その企業は従業員を雇う上で負うべき最低限の義務を果たしていないことになります。

雇用契約を即時解除できる

雇用契約書や労働条件通知書と実際の仕事内容に相違があれば、雇用契約を即時解除できます。

つまり、即日退職が可能です。

従業員として辞める・辞めないの話ではなく、雇用契約そのものが不成立となります。

その企業にあなたが雇われたという事実もなくなるので、今後は履歴書に社名を記載する必要もありません。

もし事前に聞いていた話と実際の仕事内容に相違があるようなら、できるだけ早めに雇用契約の解除を申し入れることが大切です。

退職事由は「会社都合」となる

多くの人が気になっているのは、「即日退職した後はどうなるのか?」という点でしょう。

雇用契約を締結するにあたって当然履行するべき義務を企業が果たさなかったのですから、退職事由は「会社都合」となります。

つまり、失業給付は7日間の待機期間を経てすぐに支給されるのです。

これは勤務先の倒産や希望退職の場合と同じ扱いであり、従業員本人の意思で辞めたわけではないことを意味します。

実際、仕事内容の相違さえなければ勤務を続けられたのですから、本人の意思で辞めたとは言えません。

辞めた後は失業給付を受け取りながら、求職活動に集中することができます。

「入社した会社をすぐに辞めて大丈夫だろうか?」と不安になるかもしれませんが、泣き寝入りしないことのほうが重要です。

仕事内容が聞いていたものと違っていると不満を抱えながら続けても、良いことはほぼないと考えられます。

むしろ、そういった不誠実な採用の仕方をする企業は早く見切りをつけ、次のキャリアへと前向きに進んでいきましょう。

労働条件が聞いていた内容と違う場合の対処法

もし労働条件が事前に聞かされていた内容と違っていた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

やるべきことを具体的に解説しますので、次の手順に従って行動してください。

直属の上司か人事に事実関係を確認する

最初にやるべきことは事実関係の確認です。

雇用契約書や労働条件通知書を手元に用意し、直属の上司か人事に相談しましょう。

その際、実際の仕事内容と契約書または通知書の内容に相違が見られることを明確に伝えることが重要です。

悩みを相談したいのではなく、事実関係を確認したいことをはっきりと意思表示してください。

もし本当に記載内容と仕事内容が食い違っているようなら、勤務先の側に非があることが確定します。

「書き間違えただけ」「伝え忘れただけ」といった言い訳は通用しません。

なぜなら、伝えられた仕事内容を信用して入社した結果、実際に仕事内容と食い違っているという事態が発生しているからです。

前述の通り、雇用契約書や労働条件通知書は正式な書類ですので、記載事項の誤りは決してあってはなりません。

事前に聞いていた仕事に従事できるのか確認する

次にやるべきことは、事前に聞いていた仕事に従事することは可能かどうかの確認です。

雇用契約諸や労働条件通知書の記載内容通りの条件で働くのは従業員の権利ですので、堂々と要望しましょう。

もし上司や人事担当者が「現状の人員配置では難しい」などともっともらしい説明をしても、決して受け入れないでください。

事前に聞いていた仕事内容だからこそ、あなたは入社を承諾したはずです。

入社前に実際の仕事内容が異なっていると分かっていたら、入社を辞退していたでしょう。

会社側に交渉や協議に持ち込もうとする素振りが見られても、「事前に聞いていた通りの仕事ができるのかどうか」だけを聞くことです。

誠実に対応しないようなら雇用契約の解除を申し入れる

いい加減な言い逃れをしたり、逆ギレしたりといったように、不誠実な対応が見られるようなら雇用契約の解除を申し入れましょう。

その勤務先は企業として履行するべき当然の義務を果たさず、不正確な内容を伝えて人材を確保しようとしています。

そういった企業に対して雇用契約の解除を申し入れるのは従業員としての権利ですので、臆することなく主張してください。

「急に辞められても困る」などと言ってきたとしても、一切聞き入れる必要はありません。

損害賠償請求すると言われた場合も、法律違反を犯しているのは企業側ですので、決してひるまないことが大切です。

通常であれば雇用契約は解除され、会社都合による退職が決定します。

事前に聞いていた給与よりも実際に受け取った給与が少ない場合は、差額を請求することも可能です。

入社後の仕事内容のミスマッチを防ぐには

ここまで、事前に聞いていた内容と仕事内容が違っていた場合の基本的な考え方と対処法について解説してきました。

大前提として、入社後に仕事内容や労働条件の食い違いが発覚するのを防ぐことが非常に重要です。

虚偽の条件を伝えて人材を採用する企業側に責任があるのは事実ですが、できればトラブルは未然に防止したいもの。

そこで、入社後に仕事のミスマッチが発覚するのを防ぐポイントについて解説します。

就職・転職時には、次の点を押さえておきましょう。

雇用契約書を必ず受け取っておく

採用決定時または入社時点で、「雇用契約諸」か「労働条件通知書」を確実に受け取っておきましょう。

事前に労働条件を伝えておくことは、従業員を雇用する上で企業が必ず果たさなければならない義務です。

「口頭で伝えた」「面接時に伝えた通り」といった言い分は通りませんので、必ず書面を交付してもらいましょう。

雇用契約書に記載されている仕事内容が事前に聞いていたものと食い違っているようなら、すみやかに指摘してください。

記載内容と実際の仕事が違っているようなら、書面が動かぬ証拠となり、企業側の落ち度であることがはっきりします。

雇用契約諸・労働条件通知書のいずれかを必ず受け取り、内容を確認しておくことが大切です。

複数の口コミサイトを事前に確認しておく

入社前までに複数の口コミサイトを確認し、企業の評判を把握しておきましょう。

入社前後で労働条件に相違が見られる企業では、これまでも多くの社員が不満や不信感を抱いてきたはず。

口コミサイトには元社員の評判が投稿されているため、悪評が目立つようなら問題のある企業の可能性が高いと判断できます。

とくに労働条件の相違は悪質なケースのため、常習犯の企業であればほぼ確実に悪評が投稿されているでしょう。

こうしたネガティブな評判が多数見られないか、あらかじめチェックしておくことで仕事内容のミスマッチを防止できるのです。

転職エージェントに間に入ってもらう

第三者である転職エージェントに間に入ってもらうことで、条件の交渉や不服の申入れがしやすくなります。

労働条件に関する交渉や協議には専門知識が必要です。

転職したばかりの社員が勤務先と対等に話し合うのは決して容易なことではないため、第三者に介入してもらうほうが無難でしょう。

企業から転職エージェントに報酬が支払われるのは、転職者が入社して数ヶ月経ってからです。

つまり、転職エージェントとしても労働条件の相違が原因で退職に繋がるのは避けたいところ。

もし労働条件の相違が見られたと転職者から報告があれば、勤務先と交渉してくれる可能性が高いのです。

転職エージェントをフル活用して、入社後のミスマッチが生じるリスクを最小限に抑えましょう。

勤務先が逆ギレした場合はどうする?

労働条件が聞いていた内容と違うと指摘した際、勤務先の上司や経営者が逆ギレした場合はどうすればよいのでしょうか?

泣き寝入りしないための対処法を解説します。

労働基準監督署に相談する

労働条件が雇用契約諸の記載内容と異なっているとすれば、その企業は法律違反を犯しています。

労働監督基準書に相談し、どう対処するべきか確認しましょう。

悪質性が高いと判断されると、勤務先に労働基準監督署の指導が入る可能性もあります。

ただし、労働基準監督署が勤務先に立ち入り検査をしたり、罰金などのペナルティを課したりすることはできません。

相談しても解決できそうになければ、次の段階に進みましょう。

弁護士や社会保険労務士に相談する

弁護士や社会保険労務士といった専門家に相談するのも1つの方法です。

交渉や訴訟といった手段を講じて、企業にプレッシャーをかけてくれるでしょう。

また、雇用契約の解除を申し入れる際にも、法的な見地から適切な判断をしてくれるはずです。

依頼料が発生する場合もありますが、労働基準監督署では対応が難しい個人的な問題の解決に向けて動いてもらえるでしょう。

退職代行サービスを利用して辞める

職場と交渉するつもりがなく、退職できればよいのであれば、退職代行サービスを利用する方法もあります。

労働条件の相違が見られたにも関わらず、退職させてもらえないような悪質なケースであれば、この方法がベストかもしれません。

常識が通じない相手だと感じたら、交渉するよりも辞めて無関係になることを優先させましょう。

ただし、退職代行サービスを料金の安さだけで選ぶのはリスクが高いといえます。

退職代行サービスは民間企業のため、勤務先が退職の申し出に応じない場合は交渉や協議に対応できません。

交渉・協議ができるのは、弁護士または労働組合のみです。

よって、弁護士法人や労働組合法人が運営している退職代行サービスに依頼することをおすすめします。

退職代行サービスの選び方については、次の記事をぜひ参考にしてください。

退職代行サービスはトラブルの元?確実に辞める方法とは?

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まとめ

労働条件が事前に聞いていた内容と違っている場合、雇用契約は無効となり即日退職できます。

即日退職した場合には退職事由は「会社都合」となり、失業給付も自己都合の場合より早く支給されるのです。

しかし、労働条件が違うと言い切れるのか、企業側に非があるのは確実なのか、判断に迷うケースもあるでしょう。

トラブルに巻き込まれないためにも雇用契約書を確実に受け取り、内容にしっかりと目を通してください。

また、勤務先とトラブルになった場合の対処法を事前に知っておくことも重要です。

今回の記事を参考に、しかるべき対応をして労働者としての権利を守りましょう。

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