- 上司からのプレッシャーがあまりに強く、精神的に参っている
- 上司の言動に納得いかないと感じることが多い
- 周囲に分かりにくい方法で上司からいじめを受けているように感じる
このような悩みを抱えているとしたら、あなたの上長は「隠れクラッシャー上司」かもしれません。
もし隠れクラッシャー上司に当たってしまったら、どのように対処していけばよいのでしょうか。
今回は、隠れクラッシャー上司がよく使う手口や考えられる対処方法について解説します。
この記事を読めば、陰湿な潰し方をする上司への適切な対処法が分かるでしょう。
ぜひ参考にしてください。
隠れクラッシャー上司とは?
そもそも隠れクラッシャー上司とはどのようなタイプの上司なのか、定義を整理します。
従来からよくいわれている「クラッシャー上司」との違いを押さえましょう。
部下をあからさまに潰しにかかるクラッシャー上司
クラッシャー上司とは、直属の部下を露骨に潰しにかかるタイプの上司を指す言葉です。
主な特徴として、次の兆候が見られたらクラッシャー上司の可能性が高いと考えてよいでしょう。
- 部下を決して褒めない
- 自分の考えが最も正しいと確信している
- 部下の評価よりも自分の評価を高めようとする
- 保身を最優先するため部下の失敗を許せない
- プライドが高く常に認められていないと気が済まない
こうした特徴を持つ上司についた部下は、上司に対して気を遣う場面が非常に多くなるはずです。
結果的に上司に振り回されるだけでなく、攻撃の標的にされてしまうと自主退職に追い込まれる恐れもあります。
一方で、クラッシャー上司の言動は周囲からも分かりやすく、問題のある上司として社内に知れ渡っているのが特徴です。
部下を水面下で潰していくのが隠れクラッシャー上司
隠れクラッシャー上司も、部下を潰しにかかる点はクラッシャー上司と基本的に同じです。
しかし、クラッシャー上司のように表立って部下にきつく当たったり、露骨な嫌がらせをしたりといったことがありません。
あくまでも水面下で、標的になった部下自身にしか分からない方法で追い詰めていくのが隠れクラッシャー上司の特徴です。
もし隠れクラッシャー上司の言動が原因で自主退職に追い込まれたとしても、周囲は上司に原因があるとは捉えません。
よって、事態が悪化しても「辞めた部下自身に何か原因があった」と受け取られる可能性が高いのです。
悪質性は「隠れクラッシャ上司 > クラッシャー上司」
部下を追い詰めて潰しにかかる点は、クラッシャー上司・隠れクラッシャー上司ともに共通しています。
ただし、悪質性という点に関しては「隠れクラッシャー上司のほうが格段に上」といえるでしょう。
隠れクラッシャー上司は、自分自身がクラッシャー上司と見られてしまうリスクを理解し、回避する手段を講じています。
仕事上の能力が高いタイプの上司も多く、仕事の成果に対しては社内で高く評価されているケースもめずらしくありません。
したがって、上司と部下という立場の違いに加えて、能力の違い・評価の違いから部下の側が不利になりやすい傾向があります。
部下の立場からすると、隠れクラッシャー上司は「非常にタチの悪いクラッシャー上司」なのです。
隠れクラッシャー上司がよく使う手口
隠れクラッシャー上司の手口は、表立って部下を潰すクラッシャー上司と比べて陰湿です。
ポイントは、当事者以外から見ると何ら問題がないように映るという点にあります。
隠れクラッシャー上司によくある手口を見ていきましょう。
部下の成果や実績を横取りする
自分の評価を高めるために部下の手柄を横取りするのは、クラッシャー上司の典型的な手口です。
隠れクラッシャー上司の場合、部下の手柄を横取りする手口も実に巧妙で分かりにくいものとなっています。
たとえば、上司から「重要な企画書の作成を任せたい」といわれ、部下は意気込んで文書の作成に励んだとしましょう。
後日、上司が役員に提出した企画書には、部下が書いた文章がほぼそのまま盗用されていたりするのです。
上司は自分が考案した企画として会社に提出しており、実は部下が書いていることは当事者以外に誰も知りません。
企画書が好評で上司の評価が一段と高まったとしても、部下は何の恩恵も得られないでしょう。
このように、部下の力が及ばないところで巧みに利用するのは、隠れクラッシャー上司の典型的な手口です。
部下に無理難題を与えて追い詰める
部下に無理難題を与えて追い詰め、潰してしまうのもクラッシャー上司にありがちな手口の1つです。
隠れクラッシャー上司の場合、無理難題を与える際に「部下の成長を促すため」など、もっともらしい枕詞を付けるのが特徴。
いかにも部下のためを思って厳しく接しているかのように見せているので、周囲からは「厳しい上司」と受け取られるのです。
しかし、部下が自己完結できないほどの大きな問題を丸投げすれば、部下が疲弊していくのは目に見えています。
上司の狙い通り、標的となった部下は仕事を完徹できず「仕事ができない人」と認定されてしまうでしょう。
実際のところ部下が本当に仕事ができないのか、上司の指導方法に原因があるのか、第三者が判断するのは困難です。
結果的に部下が不利な立場になりやすく、泣き寝入りするしかないケースも少なくありません。
周囲に分かりにくい嫌味や人格否定的な言葉を放つ
部下を追い詰めるスキルに長けている隠れクラッシャー上司の場合、部下自身にしか分からない嫌味を言うこともあります。
たとえば、上司から書類を返却された際に「さすがだね」と声をかけられたとしましょう。
周囲から見れば、この部下は上司から褒められているように映ります。
ところが、返却された書類を見ると不備が指摘されており、再提出を要することが明らかだったりするのです。
この場合、「さすがだね」という一言は褒めているのではなく、「相変わらずミスばかり」という嫌味に他なりません。
実際には嫌味を言われているにも関わらず周囲からは感知されにくく、部下は孤立感を深めることになるでしょう。
しかも、ミスをしていること自体は事実なので、部下は「自分に原因がある」「悪いのは自分」と思い込みがちです。
標的となった部下以外にはごく普通に接しているため、「あの人がそんな酷いことを言うはずがない」と思われる可能性があります。
周囲には分からない形で嫌味や人格否定的な言葉を放つことで、部下を精神的に追い詰める陰湿な手口といえるでしょう。
隠れクラッシャー上司への対処法
もし直属の上司が隠れクラッシャーだった場合、どのように対処していくべきでしょうか。
周囲に分かりにくい形で嫌がらせを受けるとメンタル面に負担がかかりますが、まずは落ち着いて次の対処法を試してください。
言いなりにならず主張すべきことは主張する
隠れクラッシャー上司が標的にしやすいのは「逆らってこない」「言い返してこない」タイプの部下です。
分かりにくい形で陰湿な嫌がらせをする上司は、本当は気が小さく繊細なタイプであることも少なくありません。
嫌がらせをするとその場で言い返してくるようなタイプの部下は怖いので、標的にされない傾向があります。
たとえ自分のミスが原因で嫌味を言われたとしても、本来上司が指摘するべきことは「ミス」の部分だけのはずです。
「ミスに関しては申し訳ありません。しかし、〇〇について言われるのは納得できません」と、毅然とした態度で主張しましょう。
部下の主張が常識的なものであればあるほど、下手に言い返すと上司がパワハラ認定されるリスクが高くなります。
ポイントは、感情的にならず淡々と、事実にもとづいて論理的に主張することです。
気が小さい内弁慶タイプの上司は、部下から1〜2回言い返されたことをきっかけに嫌がらせをピタリとやめることもあります。
上司のさらに上役に相談する
直属の上司の問題行動を、さらに上役へと相談するのも1つの方法です。
直属の上司が課長なら次長や部長、直属の上司が部長なら役員といった具合に、「上司の上司」を頼りましょう。
直接言いにくいようなら、メールで相談しても構いません。
あるいは、上司に対して苦言を呈するメールを送り、BCCに上役を加えておく方法もおすすめです。
勤務先がまともな職場であれば、社内でパワハラまがいの事態が発生していれば何らかの対処を試みるでしょう。
やっかいなケースは、上役が頼りにならないパターンです。
直属の上司が実質的な権限を持っていて、上役は「お飾り」のような人だと、相談してもあまり効果は見込めません。
相談する相手の見極めは必要ですが、上司と自分以外の第三者に「何が起きているのか」を把握してもらうのは重要なことです。
勤務先の人事部やパワハラ相談窓口に相談する
上司にパワハラまがいの言動が見られることを、人事部に相談する方法もおすすめです。
職場にパワハラ相談窓口があれば、相談してみるとよいでしょう。
昨今は社内でパワハラ騒動が起きたと知られると、企業としての社会的な信頼が失墜しかねない時代になっています。
事業そのものにも悪影響を与える恐れがあるため、まともな企業であれば対処してくれるはずです。
ただし、苦言を呈した結果、上司が注意を受けたとしても根本解決には至らないことも考えられます。
上司はあなたと距離を置くようになったり、仕事を積極的に任せなくなったりすることもあり得るでしょう。
一方で、当面嫌がらせを止めるには有効な手段ですので、ストレスが極限に達する前に相談しておくことをおすすめします。
隠れクラッシャー上司への対処が万策尽きたら
ここまでに紹介した対処法を試しても上司との関係性が改善されないようなら、別の手段を講じる必要があります。
具体的には、次に挙げる3つの手順で環境を変えるための準備を着実に進めていきましょう。
上司の言動は「基本スルー」でやり過ごす
まずは、上司とのやり取りにできるだけエネルギーを削がれないことを意識することが大切です。
上司から嫌味を言われたり無理な仕事量を任されたとしても、「基本スルー」でやり過ごしましょう。
上司に対しては事務的な受け答えに徹し、何を言われても「はい」や「承知しました」程度の返答に留めます。
この対応には「あなたとの関係性を改善するのは断念しました」というメッセージが込められています。
上司の言葉を真に受けず、「いかにやり過ごすか」に集中しましょう。
部下に嫌がらせをして喜んでいるようなレベルの低い上司に、エネルギーを奪い取られないようにすることが先決です。
必要最小限の仕事をこなしつつ転職活動を進める
勤務先での担当業務は「必要最小限の範囲で」対応しましょう。
陰湿な嫌がらせをするような上司を放置している勤務先にも、責任の一端はあるはずです。
すでに気持ちは職場から離れているので、優れた成果を出そうと意気込む必要はありません。
こうして節約したエネルギーを、業務時間外での転職活動へと集中させます。
ポイントは、転職サイトと転職エージェントをそれぞれ複数社並行して利用することです。
各転職サービスで扱っている求人が異なるケースも多いため、活用するサービス数が多いほうが良い求人も見つかりやすくなります。
希望条件に合う求人が見つかったら積極的に応募し、複数社の選考を同時並行で進めていくことが大切です。
退職手続きが難航しそうなら退職代行サービスを活用する
勤務先を退職する決心が固まったら、退職を申し出ましょう。
ただし、申し出る相手は基本的に直属の上司です。
直属の上司がまともに取り合ってくれないなど、退職手続きが難航しそうなら退職代行サービスの活用をおすすめします。
退職代行サービスに申し込んで契約が成立した場合、基本的に翌日から出社する必要はありません。
退職手続きは代行してもえますので、あなた自身は必要書類の郵送などを指示に従って進めるだけで済みます。
とくに転職先が決まった場合は、現在の勤務先を確実に退職し、次の職場の入社日に間に合わせることが最優先事項です。
確実に退職するための手段として、退職代行サービスは合法的に運営されている事業ですので安心して利用してください。
ただし、転職先が同業種の場合、入社後に前職の同僚と関わることも考えられるため退職代行サービスの利用はおすすめしません。
退職後に前職の関係者と関わる可能性についても十分に考えた上で、退職代行サービスを利用するべきか検討しましょう。
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まとめ
隠れクラッシャー上司は、表面化しにくい手口で部下を追い詰める悪質なタイプの上司です。
もし隠れクラッシャー上司に当たってしまったら、最優先事項は「自分の身を守ること」と考えましょう。
人は上司のために働いているのではありません。
上司の気まぐれで今後のキャリアを棒に振ってしまわないためにも、しかるべき対処を講じていくことが大切です。
クラッシャー上司に潰されないよう、今回の記事を参考に毅然とした態度で対処してください。