社風・企業文化

【ブラック確定】「社員は家族」を押しつける経営者の共通点

皆さんの勤務先では、経営者が事あるごとに「社員は家族」と言っていませんか?

結論から言うと、そのような勤務先はブラック企業の可能性が極めて高いと考えられます。

これまで「社員は家族」という発言に違和感を抱いていた人も多いことでしょう。

今回は、「社員は家族」を押しつける経営者がなぜ問題なのか?について解説します。

現状そのような企業に勤務しちえる場合の対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

「社員は家族」という言葉はなぜ生まれた?

はじめに、そもそも「社員は家族」という言葉がなぜ誕生したのかを整理しておきます。

ごく普通に考えれば、社員は企業に雇用されている従業員であり、社員同士は家族ではありません。

「社員は家族」という言葉のルーツには諸説ありますが、ここでは1つの可能性として歴史を遡っていきます。

かつての炭鉱にあった「一山一家」という言葉

1960年代にエネルギー革命が起きるまで、日本では燃料として主に石炭が使われていました。

鉱山で働く炭鉱労働者が数多くいた時代、炭鉱の町には「一山一家」という言葉があったのです。

鉱山を中心に町が形成され、地域社会が「山」を1つの単位として成り立っていたことを象徴する言葉といえます。

同じ鉱山で働く人やその家族は、いわばひとまとまりの家族のようなものでした。

たとえ血のつながりがなくても、同じ鉱山を生活の糧としている「家族」のような絆があったのです。

会社員の増加と終身雇用の定着

時代は変わり、エネルギーは石油や天然ガスが中心になっていきました。

企業に勤務して働く、いわゆる「サラリーマン」になる人が増え、企業が家計を支える基盤となっていったのです。

現在では転職がめずらしくなくなっていますが、かつては1社で定年まで勤め上げる終身雇用が一般的でした。

同じ職場で働く同僚や上司とは定年退職まで何十年にもわたって付き合っていくことになります。

まして、職場で過ごす時間は家族と過ごす時間よりも長いケースがほとんどです。

そのため、「一山一家」ならぬ「社員は家族」という言葉が誕生したと考えられます。

終身雇用が崩壊しても根強く残る「社員は家族」

現代社会では、もはや終身雇用が実質的に崩壊していることは明らかです。

定年が60歳から65歳に延長され、近い将来70歳まで延ばすという案も現実味を帯び始めています。

大卒で働き始めた人が70歳まで働くとしたら、実に48年間も会社員として過ごすことになるのです。

しかも、近年では世の中が変化する速度が速まり、一度身に付けた知識やスキルが今後も通用するという保証はありません。

1社で勤め上げることがスタンダードではなくなり、転職する人が増えるのは自然な流れといえます。

しかし、終身雇用時代に働き盛りだった年代の人は、いまだに「社員は家族」という感覚を持ち続けていることがあるのです。

すでに終身雇用が崩壊しているにも関わらず、考え方や感覚が昭和時代からアップデートされていない可能性が高いでしょう。

「社員は家族」と主張する経営者が考えていること

明らかに時代にそぐわない考え方であるにも関わらず、「社員は家族」と言い続けるのはなぜでしょうか?

経営者が「社員は家族」と主張する心境について分析しました。

社員同士が支え合って欲しいと思っている

家族は支え合いで成り立っています。

血のつながりがある家族だからこそ損得勘定を超えてお互いのことを思い、時には犠牲を払ってでも守ろうとするのです。

「社員は家族」という言葉の背後には、こうした「家族愛」を社員同士でも実現して欲しいという思いが垣間見えます。

困っている社員がいたら、自分にとって損か得か以前に「助けてあげたい」と自然に思えるようにしましょう、ということです。

しかし、「支え合いが大切」「お互い助け合おう」と伝えても、社員には言葉が届かない恐れがあります。

そこで、より分かりやすくピンとくる言葉として「家族」という表現を使っているのかもしれません。

もっとも、社員にとっては同僚や上司はたまたま入社した企業で偶然居合わせた人々に過ぎない存在です。

そういた人々を「家族を思いなさい」と押しつけるのは無理があります。

実際、あなたが「家族」という言葉に違和感を抱いているという事実が、経営者の狙いは失敗に終わっている何よりの証拠です。

合理主義的な考え方に染まりたくないと思っている

どんなケースにも当てはまるとは限りませんが、一般的に「家族だからこそ許せる」ことは少なくありません。

血のつながりのある家族だからこそ、感情をぶつけたり本音で話したりすることもできるのです。

「社員は家族」と発言する経営者は、合理主義とは正反対の家族のような関係性を実現したいのかもしれません。

従業員同士が利害関係で物事を判断するのではなく、本音で向き合えるような関係性を望んでいるのでしょう。

しかし、「合理主義に染まらないようにしよう」「本音で物を言い合おう」と伝えても、いまいちピンときません。

そこで、多くの人に伝わりやすい表現として「家族」という言葉を選んでいると考えられるのです。

この言葉の背後には、「家族なら大抵のことは許される」という甘えも見え隠れしています。

実際には、家族だからといって無限に頼ったり甘えたりすることが許されるわけであはりません。

「社員は家族」と主張して憚らない経営者ほど、血が繋がった現実の家族との関係性が良好とはいえないケースも少なくないのです。

親しさの延長線上に家族愛があると信じている

大半の社員にとって、「同僚・上司」と「家族」は全く別の相容れない言葉です。

中には親しい間柄の同僚もいるかもしれませんが、やはり「家族」とは異なるというのが一般的な感覚でしょう。

一方、「社員は家族」という言葉の背後には「親しさが増していけば、いずれ家族同然になる」という思考が潜んでいます。

親しさが高まっていった延長線上に家族愛があると信じているのです。

その思いをストレートに言葉にした結果、「社員は家族」という言い回しになっていると考えられます。

こうした発言をしてしまう経営者は、社員を会社の所有物同然に捉えている場合があるため注意が必要です。

実際には、同僚や上司と親しくなったというだけで「私たちは家族」と考えるほど社員の思考は単純ではありません。

親しさの延長線上に家族愛があると捉える発想は、実は社員の人間性を軽んじていることの表れかもしれないのです。

「社員は家族」がなぜ問題なのか

経営者が「社員は家族」と発言していても、素知らぬ顔をして働いていれば問題ないと感じる人もいるでしょう。

しかし、日頃からそのような発言を繰り返している経営者の元で働いていると、さまざまなデメリットを被る恐れがあります。

具体的なデメリットとして、次の3点が挙げられます。

社長は「家長」の役割を果たせない

社長は「家長」ではないので、社員の生活全般や今後の人生に責任を持つことはできません。

万が一、勤務先が倒産したときのことを想定してみると分かりやすいでしょう。

会社が倒産すると、従業員は全員解雇となります。

しかし、従業員全員の生活の保証を社長がしてくれるかと言えば、決してそのようなことはありません。

解雇されたが最後、元従業員は自分たちで再就職先を見つけ、それぞれのキャリアを切り拓いていかなくてはならないのです。

「社員は家族」と言いながら、実は雇用契約だけで繋がっている人間関係と捉えて間違いないでしょう。

いざという時に社長は家長の役割を果たせないにも関わらず、社員には「疑似家族」となるよう押しつけているのです。

経営者の一方的な願望であり、従業員にとってほぼメリットがないことが「社員は家族」の大きな問題点といえます。

社員の間に同調圧力が生まれやすい

「社員は家族」という言葉は、社員の間に同調圧力を生む原因になる場合もあります。

社員の中に、「私たちは家族」という空想の物語にどっぷりと浸かっている人はいないでしょうか?

このようなタイプの人は、自社への帰属意識が低いと感じられる社員や他社の社員に対して敵意を抱くことがあります。

共通の仮想敵を作ることは、組織内の結束を強めるための原始的な手法です。

コミュニティ外部の人間を敵視するという価値観を共有することで、安心したいと感じるようになっていきます。

すると、組織内で自分たちにとって「敵」となり得る人物がいないか互いに監視し合うようになるのです。

こうした組織は、古参の社員に対して異を唱えたり、独自の意見を持ったりすることが許されない雰囲気になっていきます。

イノベーションが生まれにくくなり、何事も現状維持を基準に考えるようになりがちです。

「社員は家族」がまかり通っている会社に勤め続けることで、新たな挑戦やスキルアップの機会を逃すことにもなりかねません。

経営陣に「甘え」が生じやすい

「社員は家族」を押しつける会社では、経営陣に「甘え」が生じやすくなります。

自社の将来を左右しかねない決断を下す際にも「社員はきっと理解してくれる」と安易に考えるようになるのです。

こうした傾向は、業績が低迷している時に表れやすくなります。

業績が低迷しているにも関わらず、対策を講じることもなく「社員一丸となって頑張りましょう」などと訴えていませんか?

「社員一丸となって」を翻訳すると、「われわれ経営陣は何もしないので、社員の努力で乗り切って欲しい」ということです。

経営陣として責任を全うせず、社員に負荷をかければ問題が解説すると考えています。

「社員は家族」は、いざとなれば社員が身を粉にして働き、会社の業績を回復させてくれるという甘えに繋がりやすい言葉です。

社員の立場から見れば「一方的に家族の一員にされ、経営者が困った時には団結するよう強要される」ということになります。

このように、「社員は家族」は経営陣の「甘え」を助長させる恐ろしい言葉でもあるのです。

「社員は家族」を押しつける会社に入社してしまったら

ここまで見てきたように「社員は家族」を押しつける会社に勤め続けるデメリットは非常に大きいといえます。

では、もしこうした会社に入社してしまったら、どのように対処するのがよいのでしょうか。

次のポイントを押さえて、今後のキャリアを棒に振らないようにしましょう。

目立つ言動は控えて適度に同調している素振りを見せる

「社員は家族」という文化が浸透している企業では、目立つ言動は控えて適度に同調しておくことをおすすめします。

なぜならこうした職場は同調圧力が働きやすく、一度敵視されてしまうと面倒なことになりやすいからです。

あらぬ噂を流されたり、嫌がらせを受けたりするようになるなど、無用なストレスを抱えることにもなりかねません。

適度に同調している素振りを見せ、当たり障りのない人物を演じましょう。

ただし、経営陣からあまり気に入られ過ぎないように注意してください。

「家族」の中でも忠誠心がある人材と判断されると、経営陣の甘えが講じて面倒な仕事や役割を任される可能性もあるからです。

あくまでも「適度に」「目立たない程度に」同調しておくことが大切です。

在職中に転職先を確保しておく

転職を検討する場合は、必ず在職中に転職先を決めておきましょう。

転職活動はどの程度の期間を要するのか読めない面があるため、退職してから取り組むのはリスクが高いからです。

また、転職先が決まっていれば強引に引き止められる確率も低くなります。

「家族」でいることを経営陣に諦めてもらい、すっきりと退職するためにも、転職先を確保した上で退職を申し出るほうが得策です。

退職日をずるずると引き延ばされるのを防ぐ効果もあるため、在職中に転職先を決めておくことをおすすめします。

退職を引き止められそうなら退職代行サービスの利用も視野に入れる

退職を強引に引き止められそうな気配があるようなら、退職代行サービスを利用するのも1つの方法です。

「社員は家族」と主張する経営陣の中には、「家族」を抜けようとする社員の心境が想像できない人もいます。

説き伏せれば退職の申し出を取り消してもらえると信じているケースもあるため、スムーズに退職できない恐れがあるのです。

退職代行サービスと契約すると、退職に関わる手続きを基本的に全て代行してもらえます。

勤務先は退職の申し出を有耶無耶にしたり、退職日を引き延ばしたりするといった策を講じることができません。

退職代行サービスを通して退職を申し出ることで、「もう家族ではない」という意思表示をしてみてはいかがでしょうか?

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まとめ

「社員は家族」という経営陣の主張は、専ら経営陣にとって都合のよい論理で成り立っています。

社員にとってメリットはほぼないため、こうした主張を繰り返す・押しつけるような企業はできるだけ早く脱出しましょう。

今回紹介してきたポイントを参考に、ぜひ希望するキャリアを実現することにエネルギーを費やしてください。

あなたは「会社の家族」として生きるのではなく、あなた自身の人生を歩むべきなのですから。

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