転職・退職

退職願と退職届の違いとは?もう迷わない見分け方

  • 退職を申し出る際、退職願と退職届どちらを出せばいいのだろう?
  • 退職願と退職届の違いがよく分からない
  • 退職願はいつどのタイミングで渡せばいいのか?

上記のような疑問を抱えていませんか?

今回は、退職願と退職届の違いや退職を申し出る際に提出すべき文書について解説します。

この記事を読めば、退職願と退職届の区別に迷うことはなくなるでしょう。

ぜひ参考にしてください。

【結論】最初に出すのは「退職願」

結論からお伝えすると、退職を申し出る際に提出するのは「退職願」で間違いありません。

退職願と退職届はたった1文字の違いですが、実は意味合いが大きく異なります。

それぞれの違いを押さえた上で、自信を持って「退職願」を選択しましょう。

退職願とは

退職願とは「退職したいと願い出るための書類」です。

「退職したのですが、了承していただけますか?」と伺いを立てるための書類と考えてください。

退職を申し出る時点では、上司にとって初耳というケースがほとんどでしょう。

したがって、従業員自身の考えを表明するための「退職願」が適しているのです。

退職願には希望退職日を記載するのが一般的ですが、あくまでも「希望」に過ぎません。

実際の退職日は、のちのち会社側と相談しながら決めていくことになります。

退職届とは

退職届とは「退職します」と宣言するための書類です。

会社側がどう受け取るかに関わらず、退職することを決めたと伝える書類と考えてください。

つまり、退職を申し出るタイミングで渡す書類としては、一方的なニュアンスが強いと言えます。

通常、退職届を直属の上司に突然提出することはないと捉えていいでしょう。

退職届を受理した時点で、退職の申し出を撤回できなくなります。

法律上は、退職届を提出した日から2週間後に雇用契約を解除できるからです。

退職届を提出する=退職日も含めて決定済み、と言えます。

辞表とは

テレビドラマや映画などで「辞表」を上司に提出する場面が見られることがあります。

しかし、現実には会社員が辞表を提出することはありません。

なぜなら、辞表は取締役など経営層の立場にある人が退任を申し出る際に提出すべきものだからです。

また、公務員の場合は辞表が退職願に相当するため、一般職員でも辞表を提出することになります。

役員ではない社員(管理職も含む)が退職を申し出る際には、辞表ではなく退職願を提出しましょう。

退職を申し出る時は「退職願」で間違いなし

ここまで見てきた通り、退職を申し出る際には「退職願」を提出すれば間違いありません。

従業員が退職届を自分の判断で作成するのは、特殊なケースに限られるからです。

むしろ、初めから退職届を提出してしまうと「辞めます」「これは決定事項です」と一方的に言い渡していることになります。

本来は失礼にあたるため、間違えることのないよう「退職願」と記載しましょう。

退職届を提出するのはどんな場合?

では、退職届を提出するのはどのような場合でしょうか。

企業によっては、退職届の提出は求めない・必要ないというケースも少なくありません。

もし退職届を提出する必要があるとすれば、次に挙げる場合に限られるでしょう。

会社側から提出を求められた場合

企業によっては、退職手続きに必要な書類一式を定めていることがあります。

この中に退職届が含まれている場合、退職届を作成して提出するよう指示があるはずです。

ただし、退職届に記載する退職日は正式な退職日となるため、事前に上司と話し合って決めておく必要があります。

同じ退職日でも退職願に記載するのは「希望」、退職届に記載するのは「決定事項」と考えてください。

裏を返せば、退職届の提出を求められない限り自分から提出する必要はありません。

会社に所定のフォーマットがある場合

これも企業によりますが、退職届のフォーマットを会社側で用意している場合があります。

通常は退職手続き時に必要な提出書類の1つとして指示されますので、指示があれば提出するという認識で構いません。

企業側が労働基準法に則って退職手続きを進めたことを、記録として残しておくなどの目的で記載を求めていると考えられます。

あくまでも退職手続きの一環ですので、深く考えず記載ミスのないように作成すれば十分です。

退職の申し出を聞き入れてもらえない場合

退職を申し出たり、退職願を提出したにも関わらず、聞き入れてもらえない可能性もゼロではありません。

本来、企業は従業員から退職の申し出があれば応じる義務があります。

よって、退職の申し出を無視する・聞き入れないという行為そのものが法に触れる可能性があるのです。

このような場合は退職届を自分で作成し、内容証明郵便で企業の総務部や人事部に郵送しましょう。

内容証明郵便であれば、会社側は「受け取った覚えがない」「内容を見ていない」と主張できなくなります。

ただし、この方法は強硬に退職を拒まれた場合に限って使うべき手段と捉えてください。

勤務先ときちんと話し合った上で退職を了承してもらい、退職日を決めるのが本来の流れです。

退職願は必ず提出しなくてはならない?

ところで、そもそも退職願は必ず提出しなくてはいけないのか疑問に感じている人もいるでしょう。

いつどのタイミングで退職願を出すべきか、悩んでいる人もいるかもしれません。

実は、退職願を提出しなくても退職することはできます

にも関わらず退職願を提出したほうが良いのはなぜなのか、退職願を用意しておく効果と併せて見てきましょう。

口頭で申し出ても退職意思を伝えたことになる

退職願を提出せず、口頭で退職を申し出ただけでも退職意思を伝えたことになります。

口頭で「退職させていただきたい」と伝え、直属の上司が了承すれば基本的に退職の申し出は完了です。

法律上においても、退職願などの書類を提出しなければならないとは定められていません

退職願を必ず用意しなくてはいけないと思っていた人もいるでしょう。

これは誤解ですので、「口頭で伝えるだけでも成立する」ことは押さえておいてください。

退職願を提出する効果

では、あえて退職願を提出するのはなぜでしょうか。

ここには2つの理由があります。

退職願を提出することで得られる効果

  • 退職意思が固いことを伝えられる
  • 退職希望日を文書として残せる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

退職意思が固いことを伝えられる

退職願を提出することで、少なくとも直属の上司は退職の意思を確認したことになります。

前述の通り、退職願だけでは会社側が退職を承認したことにはなりません。

しかし、従業員自身がすでに退職の意思を固めていることを伝える効果はあるでしょう。

単に仕事の悩みを相談しているのではなく、はっきりと「退職したい」と表明していることが伝わるからです。

退職希望日を証拠として残せる

一般的に、退職願には「〇月〇日をもって退職したく、お願い申し上げます」などと記載します。

つまり、退職希望日を証拠として残しておくことができるのです。

口頭で退職希望日を伝えただけでは、上司がさらに上の役職者や人事に伝える際、希望通りに伝えてくれる保証はありません。

退職願に退職希望日を記載し、コピーも手元に取っておくことで、会社側に希望を伝えたという証拠になるのです。

退職願はあくまでも慣習的なもの

退職願は慣習的なものですので、必ず提出しなければならない書類ではありません

もし提出する適切なタイミングがないようなら、口頭で退職の意思を伝えるだけでも問題ないのです。

一般的には最初に退職を申し出た時か、後日改めて退職日や引き継ぎの相談をする際に提出するのが自然でしょう。

念のために退職願を作成しておき、提出できるタイミングで上司に手渡すことをおすすめします。

退職を聞き入れてもらえない・引き止められた場合

退職を申し出たにも関わらず、聞き入れてもらなかったり強引に引き止められたりした場合、どうすればよいのでしょうか。

できる限り円満退職の方向で進めるためにも、次の手順で退職を願い出ましょう。

話し合った上で退職を認めてもらうのが理想

最初に退職を申し出た際、上司から「何か悩んでいるのか」「一度飲みに行こう」などと言われることが想定されます。

退職の申し出をうやむやにするための口実ですので、後日改めて場を設けてもらい、退職を再度申し出ましょう。

上司が退職の申し出を聞き入れ、会社が承認して退職するという基本の流れで手続きを進めるのが望ましいのは間違いありません。

一度聞き入れてもらえなかったとしても、退職を認めてもらえるようにできる限り交渉することが大切です。

強引な引き止めの場合は退職届を郵送する

退職を強引に引き止められ続け、一向に退職できそうにないようなら退職届を職場宛に郵送しましょう。

この場合は退職願ではなく「退職届」で構いません。

前述の通り、退職届は一方的に「辞めます」と宣言する意味合いの書類です。

角が立つことも想定されますが、辞めたくても辞められない状況であればやむを得ないでしょう。

郵送する際は、総務部や人事部など社員の入退職関係の実務を担当している部署宛で構いません。

普通郵便ではなく、必ず「内容証明郵便」にすることも忘れないようにしてください。

内容証明郵便は、普通郵便に440円加算すれば利用できます。

内容証明郵便を送ることで、退職したい旨を職場に伝えたことが法的に証明されます。

通常であれば、この時点で引き止めるのを諦めて退職手続きに入るケースがほとんどでしょう。

頑なに退職を拒否されたら退職代行サービスも検討する

退職届を郵送しても退職を拒否し続けるようなら、退職代行サービスの利用も検討しましょう。

退職代行サービスとの契約が成立すると、基本的には翌日から出社は不要となります。

退職の申し出から手続きまで、代行業者があなたに代わって進めてくれるからです。

ただし、利用する退職代行サービスはどこでも良いわけではありません

悪質な業者を利用してしまうと、トラブルに発展する上に退職できないという最悪の結果になることもあり得ます。

退職代行サービスの選び方については次の記事で詳しくまとめていますので、こちらもぜひ参考にしてください。

退職代行サービスはトラブルの元?確実に辞める方法とは?

近年、勤務先を退職する際に「退職代行サービス」を利用する人がじわじわと増えていることをご存知でしょうか? 日本労働調査組合の調査によれば、退職代行サービスの認知率は63.9%、利用経験者は約3割にもの ...

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まとめ

退職願と退職届は名称がよく似ていますが、実は全く性質の異なる書類です。

通常の退職手続きであれば、従業員から提出するのは退職願のみで問題ないでしょう。

退職届は勤務先から要望があった場合か、もしくはトラブルになりそうな場合のみ提出すると考えてください。

退職願と退職届をきちんと区別して、退職手続きを適切に進めましょう。

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