社風・企業文化

合同会社は怪しい?危ない?株式会社との違いを解説

  • 求人を見かけた企業が合同会社だったので応募をためらっている
  • 株式会社と合同会社はどう違うのかが知りたい
  • 合同会社は怪しいのか、入社しても大丈夫なのか確認しておきたい

上記のような疑問や不安を抱えていませんか?

今回は、合同会社とはどのような法人なのかを分かりやすく解説します。

合同会社で働くデメリットにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

合同会社とは?

はじめに、そもそも合同会社とはどんな企業なのかを整理しておきましょう。

株式会社や有限会社、合弁会社、合資会社との違いについても理解を深めてください。

会社法改正により新設された法人の形態

合同会社の設立が可能になったのは、2006年に会社法が改正されたからです。

旧会社法では、法人設立に必要な資本金の下限は株式会社であれば1,000万円、有限会社であれば300万円と定められていました。

新会社法ではこの条件が事実上撤廃され、株式会社・合同会社ともに資本金1円から設立可能となったのです。

会社法が改正されてからすでに15年以上経っていますが、上記の変更が十分に認知されているとは言えません。

そのため、合同会社と聞くと「よく分からない」「怪しい」と思われがちなのです。

株式会社との違い

株式会社と合同会社の大きな違いとして、出資者と経営者が一致している点が挙げられます。

株式会社の場合、出資者と経営陣が同じとは限りません。

経営者でなくても会社の株を買うことで出資できるのは、株式会社の仕組みと考えてください。

一方、合同会社の経営に参画する場合は経営者全員が出資する必要があります。

つまり、「会社のオーナー=経営陣」というのが合同会社のあり方と捉えてよいでしょう。

経営者が全員出資者のため、株式会社のように株主総会を開催して経営上重要な決定事項について承認を得る必要がありません。

株主総会に代わる「社員総会」で話し合い、異議がなければ経営に即反映させることができます。

よって、合同会社は株式会社と比べて意思決定のスピードが速く、経営の自由度が高いのが特徴です。

有限会社との違い

会社法の改正に伴い、有限会社は新たに設立できないことになりました。

ただし、会社改正以前から存続している有限会社については特例として有限会社であり続けることが認められています。

よって、現在「有限会社」として経営を続けている会社は、会社法改正よりも前から存続していると判断できるのです。

合同会社と有限会社は法人形態が異なるものの、かつての有限会社の代わりに合同会社が新設されたと考えてよいでしょう。

合同会社は怪しい?入社しても大丈夫?

合同会社は株式会社と比べて知名度が低いことから、「怪しいのでは?」「入社して本当に大丈夫?」と思われることがあります。

また、合同会社は社員=出資者と聞いて「入社時に出資する必要があるのだろうか?」と疑問に感じている人もいるでしょう。

ここからは、合同会社の実態について解説します。

合同会社はごく普通の「会社」

結論から言うと、合同会社はごく普通の企業です。

入社先が株式会社でも合同会社でも、従業員として働く場合はほとんど差はないと考えてください。

合同会社に入社したところ、以前働いていた株式会社と何もかも全く違っていた、といったことにはなりません。

経営陣として参画する場合は異なる点があるものの、従業員であれば大きな違いはないと考えて問題ないでしょう。

合同会社は小規模な会社ばかり?

合同会社と聞くと、小規模な会社ばかりのように感じるかもしれません。

実は、大企業や有名企業の中にも合同会社は存在します。

AmazonやAppleの日本法人は、どちらも合同会社です。

株式会社よりも合同会社のほうがアメリカの法人形態に近いからではないか、と指摘する人もいます。

理由はともあれ、誰もが知っているグローバル企業も合同会社として運営されている場合があるのです。

したがって、合同会社=小規模な会社とは必ずしも言い切れません。

ただし、さまざまな手続きが簡素であることから、社長1人で運営する企業は合同会社を選択するケースがよく見られます。

株式会社も1人で設立することは可能ですし、実際に小規模な株式会社も数え切れないほどたくさんあるのです。

全体的な比率としては、株式会社よりも合同会社のほうが小規模な企業が多いと言えるでしょう。

出資しないと従業員になれない?

合同会社に関する説明では、しばしば「社員全員が出資し、経営決定権を持つ」などと書かれています。

そのため、合同会社で働くには出資する必要があるのでは?と誤解する人が少なくありません。

結論としては、従業員であれば出資する必要はなく、株式会社と同じように雇用契約を結ぶことができます。

なぜなら、合同会社で言う「社員」とは経営陣のことを指しているからです。

従業員は経営陣ではないので、正社員・契約社員のほか、パート・アルバイトなどは株式会社と同様の被雇用者となります。

出資しなくても、合同会社の従業員として働くことは可能です。

株式会社にはできて合同会社にできないこと

では、株式会社にはできて合同会社にできないことはあるのでしょうか?

従業員が関わる可能性がある点として、主に次の2点が挙げられます。

合同会社は株式公開ができない

合同会社は株式公開ができないため、上場企業にはなれません

つまり、株式は全て企業のオーナー=経営陣が所有することになります。

株式会社であれば、経営者ではない一般社員が構成する「社員持株会」などが株を所有することも可能です。

一方、合同会社では一般社員が自社株を保有する方法が用意されていません。

ストックオプション(新株予約権)を社員に付与するといったことは、合同会社ではできないのです。

入社後にストックオプションを利用したい場合は、合同会社ではなく株式会社を選ぶ必要があります。

合同会社には役員の任期がない

株式会社の役員任期は最長10年ですが、合同会社には役員の任期がありません。

つまり、役員自身の意思や会社の都合で退任しない限り、役員は在任し続けることができます。

一方、株式会社の場合は重任を決定する際、株主総会の承認を得なければなりません。

実際には株式会社の役員も任期満了時に重任することで、引き続き役員を務めるケースが多いでしょう。

よって、役員任期の有無は従業員にとって大きな差として感じられない可能性が高いと言えます。

従業員の立場であれば両者にはほぼ差がない

ここまでに見てきた通り、従業員として就業する場合は合同会社・株式会社に大きな違いはないと考えて差し支えないでしょう。

どうしても上場企業で働きたいといった理由がない限り、合同会社で働くことは大きなデメリットにはならないのです。

ただし、長く働き続けていく中で合同会社に特有のデメリットを感じるケースもゼロとは言いきれません。

次章では、合同会社で働くデメリットについて解説します。

合同会社で働くデメリット

合同会社で働くデメリットを強いて挙げるとすれば、次の2点でしょう。

株式会社ほど認知度が高くない

合同会社が設立できるようになって15年以上が経過していますが、依然として株式会社ほど知名度は高くありません。

よって、勤務先が合同会社と聞いて「怪しい」「普通の会社と違うらしい」と誤解する人がいることが想定されます

中には「合同会社=零細企業」と思い込んでしまう人もいるため、いちいち説明するのが面倒に感じるかもしれません。

ただし、日常会話の中で「合同会社〇〇に勤めています」と法人格を付けて伝えることはまずないでしょう。

したがって、株式会社ほど知名度が高くないこと自体が大きなデメリットにはならないはずです。

経営陣の対立が原因で混乱する恐れがある

合同会社は出資者=経営者のため、経営陣の対立などが原因で組織が混乱することもないとは言い切れません。

株式会社の場合、出資比率に応じて役員報酬が自動的に決まるため、貢献度に応じて経営陣が対立するリスクは低いと言えます。

一方、合同会社の場合は出資比率と役員報酬が一致していなくも問題ありません

つまり、組織への貢献度の高い役員が役員報酬の決定額に不満を抱くといった事態が起こりかねないのです。

実際、2人で出資し合って設立した合同会社が成長するにつれて、役員同士が対立するといったことは決してめずらしくありません。

経営陣が真っ向から対立した場合、組織が二分されて従業員が別会社に配属されるといったことも想定されます。

長い目で見ると、出資者と経営者が必ずしもイコールではない株式会社のほうが組織を維持しやすいこともあるのです。

まとめ

合同会社は株式会社ほど広く知られていないとはいえ、決して怪しい組織などではありません。

就職・転職時に応募先の企業が合同会社だったからといって、必要以上に不安を抱かないようにしましょう。

ただし、株式会社にはない合同会社特有のデメリットが全くないわけではありません。

合同会社とはどのような法人形態なのかを正しく理解した上で、就職・転職先を選ぶことが大切です。

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