- パートなのに社員と仕事内容・仕事量が変わらないのはおかしい
- 正社員と同じ仕事をしているのに給料だけ安いのは変だと思う
- パートなのにフルタイムで働かせるのは職場として問題はないの?
上記のような点に疑問や不満を持っていませんか?
今回は、パート・バイトと正社員が同じ仕事内容でも問題はないのかを解説します。
不満を抱えている場合の対処法も併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
一般的な「パート・バイトと正社員の違い」
そもそも、一般的にパート・バイトと正社員はどのように区別されているケースが多いのでしょうか。
法律上の違いについては後述しますが、ここではよくある誤解も含めて「パート・バイトと正社員の違い」を挙げていきます。
労働時間の違い
パート・バイトを正社員の大きな違いとして労働時間が挙げられます。
正社員は基本的にフルタイムで働くため、所定の労働時間(いわゆる「定時」)は原則として全て出勤しなくてはなりません。
一方、パート・バイトの場合はシフト制のことも多く、正規の労働時間のうち一部が勤務時間となります。
ただし、パートやバイトをフルタイムで就業させてはいけないというルールはありません。
パートなのにフルタイム勤務というのはおかしいような気もしますが、実際には法律上とくに問題はないのです。
よって、パート・バイトは正社員と比べて労働時間が短い「場合もある」と捉えるのが適切でしょう。
契約期間の違い
パート・バイトと正社員の違いとしてよく挙げられるのが契約期間です。
一般的に、パート・バイトは有期雇用、正社員は無期雇用と思われていることが少なくありません。
これは、非正規雇用=期間の定めがある、正規雇用=期間の定めがないと思われがちなことに起因しています。
しかし、実際にはパート・バイトであっても雇用期間を定めることなく就業することは可能です。
契約社員や派遣社員と違い、パート・バイトに雇用期間を定めるかどうかは勤務先しだいと考えてください。
短期バイトや単発バイトのように明らかに雇用期間の定めがある場合を除き、無期雇用のパート・バイトも十分にあり得るのです。
責任の違い
パート・バイトと正社員の違いとして多くの人が挙げるのが、仕事に対する責任の違いでしょう。
たとえば、パートやバイトは仕事が終わらなくても終業時刻になれば基本的に残業を任されることはありません。
前述の通り、パート・バイトは勤務時間を事前に申請した上で就業するのが基本だからです。
一方、正社員の場合は担当業務が終わらなければ残業をして残務処理をする必要があります。
こうした点から、正社員よりもパート・バイトのほうが責任が軽いと思われがちです。
ただし、本来は「ここまではパート・バイトの仕事、ここから先は正社員の仕事」といった線引きはありません。
雇用形態によって職務上の責任に差をつけるという法律の規定はなく、責任の重さに差があると慣習的に思われているに過ぎないのです。
「パートタイム労働法」に定められたパート・バイトの権利
パート・バイトの権利は「パートタイム労働法」に定められています。
正社員との仕事内容や待遇の差が気になる場合は、パートタイム労働法に抵触していないかどうかがポイントとなるのです。
雇用契約書・労働条件通知書の発行
パート・バイトを採用する際、雇用契約諸や労働条件通知書を発行することが企業に義務づけられています。
正社員の採用時にこうした書類を発行することはよく知られていますが、パート・バイトの場合は不要と思い込んでいませんか?
実は、パート・バイトであっても賃金や労働時間といった条件を書面で提示しなくてはならないのです。
たとえば、バイトとして採用された当初に口頭で「週2〜3日、1日4〜5時間勤務にするつもり」と告げられていたとしましょう。
実際に働き始めてみると正社員と変わらない週5日・1日8時間勤務だっとすれば、事前に伝えられた労働条件とは異なっています。
このような条件の相違が見られた際、雇用契約諸や労働条件通知書が動かぬ証拠となるのです。
業務内容が同じなら待遇に不合理な差をつけてはならない
パート・バイトと正社員の仕事内容が全く同じであれば、待遇に明らかな差をつけてはならないと定められています。
いわゆる「同一労働同一賃金」ですが、文字通りに解釈すれば「仕事内容が同じなら給料も同額」と受け取れるでしょう。
しかし、実際には「待遇に不合理な差をつけないこと」といったように、解釈には幅があります。
現実的にはパート・バイトと正社員の年収が全く同じにはならないのは、こうした背景によるものです。
待遇を全く同じにするのではなく、あくまでも「不合理な差をつけないこと」が企業に義務づけられていると捉えてください。
正社員とパート・バイトに業務範囲の明確な区別はない
正社員とパート・バイトが同じ仕事をしてはいけないというルールは、パートタイム労働法で定めていません。
つまり、「パート・バイトなのに正社員と同じ仕事内容」というケースもあり得るのです。
雇用形態が違うにも関わらず、仕事内容が同じであることに不満や疑問を抱える人は少なくありません。
ただし、法律上の問題なのか、個人的な感情の問題なのかをしっかりと区別しておくことは非常に重要です。
少なくとも法律には違反していないのですから、勤務先の企業が法律違反を犯していると勘違いしないように注意しましょう。
業務範囲や仕事の責任が雇用形態によって変わるというのは、差別につながる危険な考え方とも言えるのです。
パート・バイトが正社員との格差に不満を持ちやすいケース
パート・バイトが正社員との格差に不満を持ちやすいケースを挙げていきます。
法律上問題がないとはいえ、現場では「パートなのに」「バイトなのに」といった不満を抱くことは十分にあり得るでしょう。
次のような状況に該当するようなら、法に触れていないとしても職場のスタンスに問題があると考えられます。
面倒な仕事・大変な仕事をパート・バイトに押し付ける
社員がパート・バイトに対して、面倒な仕事や大変な仕事を日常的に押し付けているようなら、不満を抱くのも無理はありません。
明らかに時間や手間のかかる仕事を任せておいて、社員たちはランチに行ってしまうようなことが頻繁に行われていませんか?
そういった職場では、在籍している社員がパート・バイトに対して偏見を持っている可能性が高いと考えられます。
「どうせ長く働くわけではない」などと考えている社員が一定数いる職場では、上記のようなことが平気で行われがちです。
たとえ勤務時間が短いからといって、パートやバイトをぞんざいに扱ってよいというものではありません。
一緒に働くメンバーの1人として認めてもらえていないと感じるようなら、その職場には問題がある可能性が高いでしょう。
経験の長いパート・バイトよりも正社員のほうが頼りない
職場によっては、若手の社員よりもパートやバイトのほうが在籍期間が長く、業務経験が豊富というケースもあり得ます。
パートやバイトよりも正社員のほうが頼りないようだと、不満を抱く人が現れるのも無理はありません。
たとえば、パートに対して「どうすればいいですか?」などと聞いているようでは、社員として示しがつきません。
勤務時間が短い分、正社員よりもパート・バイトのほうが年収が低くなるのはやむを得ない面があります。
それだけに、正社員がパート・バイトを頼って仕事をしている素振りが見られると不満の原因になりやすいのです。
パートなのにフルタイム勤務が当然と思われている
パートとして働いているにも関わらず、正社員と同じようにフルタイムで働くのが当然と思われていることも不満の種になりがちです。
本来、パートは採用時点での雇用契約諸や労働条件通知書に記載された勤務時間通りに働けばよいとされています。
しかし、「忙しいから」「人手が足りないから」といった理由で、ずるずるとフルタイム勤務に変更されていないでしょうか?
現場の社員は、相手がパート・バイトだということを忘れて、自分たちと同じ条件で働くべきだと思い込んでいる可能性があります。
こうした状況が続くと、パートであるにも関わらず「残業しないのは不公平だ」などと社員から不満が噴出することさえあるのです。
職場として、雇用形態の違いを現場に周知徹底していないのは大いに問題があります。
パートでもフルタイム勤務が当然と思われているようなら、職場全体として雇用形態の違いに対する認識が甘いと考えられるのです。
正社員と仕事内容が変わらないことが不満な場合の対処法
パート・バイトであるにも関わらず、仕事内容が正社員と変わらないことに不満を抱いている場合の対象法を紹介します。
次に挙げるいずれかの対処法を講じて、現在の不満点を解消していきましょう。
正社員登用の希望を伝える
勤務先に正社員登用制度がある場合や、過去に正社員登用された人がいる場合は、正社員になりたいと希望を伝えてみましょう。
伝える相手は直属の上司でも、人事でも構いません。
「正社員になる意思がある」と勤務先に伝わることが重要です。
希望を伝えれば必ず正社員になれるとは限りませんが、増員を検討するタイミングで正社員化を検討してもらえる可能性もあります。
ポイントとしては、あくまでも「ダメ元」で言ってみるというスタンスで臨むことです。
「検討します」などの回答が返ってくる場合もありますが、まずは希望を伝えてしばらく様子を見ましょう。
パート・バイト先を変える
正社員登用される見込みがなさそうな職場であれば、パート・バイト先を変えるのも1つの方法です。
企業によっては、自社と相性が良さそうなパート・バイトを積極的に正社員化しているケースもあります。
反対に、正社員は初めから正社員採用する方針の企業の場合、いくら希望を伝えても聞き入れてもらえない確率が高いでしょう。
企業によって方針が大きく異なる部分のため、正社員登用の可能性がある職場へ移るほうが近道かもしれません。
慣れない勤務先に変わるのは勇気がいるかもしれませんが、長い目で見れば決断して良かったと思える日がくるはずです。
なお、求人を探す際には「正社員登用制度あり」などの記載があるかどうかもチェックしておきましょう。
加えて、面接の時点で「将来的に正社員になりたい」と明確に伝えておくことが大切です。
時短勤務が可能な正社員の求人を探す
パート・バイトから正社員へと転職するのも現実的な対処法と言えます。
フルタイム勤務が難しい場合は、時短勤務が可能な求人を優先的に探していくとよいでしょう。
業界によっては人手不足が深刻化しており、ある程度年齢が高い人材でも意欲があれば採用してもらえる可能性があります。
「正社員になりたい」というのは立派な志望動機ですので、堂々と伝えて正社員採用を目指してください。
ポイントとして、パート・バイトの経験が少しでも活かせる業種・職種を選ぶほうが正社員採用の確率は高まります。
パート・バイトと比べて勤務日数や勤務時間は増えるかもしれませんが、正社員として安定した働き方が実現できるでしょう。
まとめ
パート・バイトが正社員と同じ仕事を任されること自体に法的な問題はありません。
ただし、正社員との格差に不満を感じるようなら、その職場には法律以外の問題点が潜んでいる可能性も否定できません。
今回紹介してきた注意点や対処法を参考に、ぜひ不満点の解消に向けて行動してみてください。